税制改正平成30年度(1)改正前の制度の概要

(1)適格組織再編成

次のいずれかに該当する組織再編成(合併、分割、現物出資、現物分配、株式交換等及び株式移転をいいます。)で、合併法人の株式以外の資産が交付されないこと等の対価要件に該当するもの(合併法人又は株式交換完全親法人の被合併法人又は株式交換完全子法人に対する持株割合が3分の2以上の場合の吸収合併又は株式交換等を除きます。)については、適格組織再編成とし、適格合併、適格分割、適格現物出資又は適格現物分配に係る移転資産の譲渡損益を計上しないこととされ、非適格株式交換等又は非適格株式移転に係る株式交換完全子法人等の有する時価評価資産についてはその評価益又は評価損を計上することとされています(法法2、62~62の6、62の9、法令4の3)。
①完全支配関係がある法人間の組織再編成(現物分配(株式分配を除きます。)はこの類型のみ)
②支配関係がある法人間の組織再編成で、次の要件の全てに該当するもの
イ 移転事業に係る主要な資産及び負債が移転していること(主要資産等移転要件)。
(注)分割及び現物出資のみ
ロ 移転事業に係る従業者のうちその総数のおおむね80%以上の者が移転先法人の業務に従事することが見込まれていること(従業者引継要件)。
(注)株式交換等及び株式移転については、完全子法人の業務に引き続き従事することが見込まれていること(従業者継続要件)。
ハ 移転事業が移転先法人において引き続き行われることが見込まれていること(事業
継続要件)。
(注)株式交換等及び株式移転については、完全子法人の主要な事業が引き続き行われることが見込まれていること。
③共同で事業を行うための組織再編成として、次の要件の全てに該当するもの
イ 事業が相互に関連するものであること
(事業関連性要件)。
ロ 各事業のそれぞれの売上金額等の割合がおおむね5倍を超えないこと(事業規模要件)又は移転元法人の役員等のいずれかと移転先法人の特定役員のいずれかが組織再編成後に移転先法人の特定役員となることが見込まれていること(特定役員引継要件)。
(注)株式交換及び株式移転については、特定役員引継要件に代えて、完全子法人の特定役員の全てがその株式交換又は株式移転に伴って退任をするものでないこと(特定役員継続要件)。
ハ 移転事業に係る主要な資産及び負債が移転していること(主要資産等移転要件)。
(注)分割及び現物出資のみ
ニ 移転事業に係る従業者のうちその総数のおおむね80%以上の者が移転先法人の業務に従事することが見込まれていること(従業者引継要件)。
(注)株式交換及び株式移転については、完全子法人の業務に引き続き従事することが見込まれていること(従業者継続要件)。
ホ 移転事業が移転先法人において引き続き行われることが見込まれていること(事業継続要件)。
(注)株式交換及び株式移転については、完全子法人の主要な事業が引き続き行われることが見込まれていること。
ヘ 合併、分割型分割、株式交換及び株式移転により交付される合併法人の株式等のうち支配株主に交付されるものの全部が支配株主により継続して保有されることが見込まれていること(株式継続保有要件)。
(注)分社型分割及び現物出資の場合は、交付を受ける株式の全部を継続して保有することが見込まれていること。
ト 完全親法人による完全支配関係が継続することが見込まれていること(支配関係継続要件)。
(注)株式交換及び株式移転のみ
④独立して事業を行うための分割及び株式分配として、次の要件の全てに該当するもの
イ 分割の直前に分割法人と他の者との間に当該他の者による支配関係がなく、かつ、その分割後に分割承継法人と他の者との間に当該他の者による支配関係があることとなることが見込まれていないこと(非支配要件)。
(注)株式分配に係る現物分配法人及び完全子法人も同様
ロ 分割法人の役員等のいずれかが分割後に分割承継法人の特定役員となることが見込まれていること(役員引継要件)。
(注) 株式分配の場合は、完全子法人の特定役員の全てがその株式分配に伴って退任をするものでないこと(特定役員継続要件)。
ハ 分割法人の分割事業に係る主要な資産及び負債が分割承継法人に移転していること(主要資産等移転要件)。
(注)分割のみ
ニ 分割法人のその分割の直前の分割事業に係る従業者のうち、その総数のおおむね80%以上の者がその分割後に分割承継法人の業務に従事することが見込まれていること(従業者引継要件)。
(注)株式分配の場合は、完全子法人の業務に引き続き従事することが見込まれてい
ること(従業者継続要件)。
ホ 分割法人の分割事業がその分割後に分割承継法人において引き続き行われることが見込まれていること(事業継続要件)。
(注)株式分配の場合は、完全子法人の主要な事業が引き続き行われることが見込まれていること。

(2)当初の組織再編成の後に適格株式分配を行うことが見込まれている場合における当初の組織再編成に係る株式の保有関係

上記⑴①(当事者間の完全支配関係がある法人間の合併及び分割型分割を除きます。)は、組織再編成後に完全支配関係が継続することが見込まれていることが要件とされています。ただし、組織再編成後に適格株式分配を行うことが見込まれている場合にはこの要件について一定の緩和措置が講じられています。
具体的には、単独新設分社型分割後に分割承継法人を完全子法人とする適格株式分配を行うことが見込まれている場合には、その単独新設分社型分割の時からその適格株式分配の直前の時まで分割法人と分割承継法人との間に分割法人による完全支配関係が継続することが見込まれていれば、その単独新設分社型分割に係る適格要件のうち完全支配関係が継続することが見込まれていることとの要件に該当することとされています(法令 4 の 3 ⑥一ハ)。単独新設現物出資についても同様とされています(法令 4の 3 ⑬一ロ)。

(3)無対価組織再編成

対価が交付されない組織再編成(以下「無対価組織再編成」といいます。)については、次の合併、分割及び株式交換に限り、適格組織再編成に該当し得ることとされ(法令 4 の 3 )、対価の交付があった場合と同様の処理とする措置が講じられています(法法61の 2 、法令 8 、119の 3 等)。

①次の関係がある合併
イ 合併法人が被合併法人の発行済株式等の全部を保有する関係
ロ 一の者が被合併法人及び合併法人の発行済株式等の全部を保有する関係
ハ 合併法人及びその合併法人の発行済株式等の全部を保有する者が被合併法人の発行済株式等の全部を保有する関係
ニ 被合併法人及びその被合併法人の発行済株式等の全部を保有する者が合併法人の発
行済株式等の全部を保有する関係

②次の関係がある分割
イ 分割承継法人が分割法人の発行済株式等の全部を保有する関係
ロ 分割法人が分割承継法人の発行済株式等の全部を保有する関係
ハ 一の者が分割法人及び分割承継法人の発行済株式等の全部を保有する関係
ニ 分割承継法人及びその分割承継法人の発行済株式等の全部を保有する者が分割法人の発行済株式等の全部を保有する関係

③次の関係がある株式交換
イ 一の者が株式交換完全子法人及び株式交換完全親法人の発行済株式等の全部を保有
する関係
ロ 株式交換完全親法人及びその株式交換完全親法人の発行済株式等の全部を保有する者が株式交換完全子法人の発行済株式等の全部を保有する関係


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