税制改正令和元年度(2)改正の趣旨及び概要

三角合併等における対価要件については、平成19年度税制改正において会社法の合併等対価の柔軟化に際して措置され、直接100%支配関係がある親法人の株式のみが対価要件に該当する株式とされていました。しかしながら、その後、わが国の企業グループにおいては、連単倍率が上昇し、企業経営における子会社の比重が増していること、また、親・子・孫の三層構造以上の企業グループ数が増加していることといった実態の変化が見られます。そこで今回、このような実態の変化を踏まえて対価要件が見直されました。具体的には、合併等に際し間接100%支配関係がある親法人の株式が交付される場合について、直接100%支配関係がある親法人の株式が交付される場合と同様に親法人の株式の保有を通じて移転資産や事業に対する実質的な支配が継続していると考えることができることから、対価要件に該当することとされました。
また、株式交換後に株式交換完全親法人を被合併法人とし、株式交換完全子法人を合併法人とする合併(逆さ合併)が行われる場合については、平成18年度税制改正により株式交換が組織再編税制に位置づけられた際に非適格とされたものです。

しかしながら、近年の株式交換後に逆さ合併が行われた事例についてみると、許認可等の観点から便宜的に逆さ合併が選択されたものであること、大部分が MBO 案件であることといった実態があり、逆さ合併が行われることのみをもって「組織再編成の前後で経済実態に実質的な変更がない」との適格要件の考え方に合致していないとはいえないと考えられることから、株式交換後に逆さ合併が行われることが見込まれている場合にも適格要件に該当し得ることとされました。


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