持株会社化に向けた手続き
会社法の手続きに従えばよい・・・?
最近よく、「○○ホールディングス」という文字や言葉を聞きませんか?
この「○○ホールディングス」という文字や言葉が意味するのは、その会社が持株会社であることを示しているのであります。最近では、中小企業でもホールディングスの設立が目立つようになってきました。
持株会社化の目的は様々ですが、その実行にあたっては、「単純に親会社を設立するだけだから、手続きは簡単」とお考えではないでしょうか。
持株会社化の手続き自体は比較的シンプルですが、持株会社化を行ううえで大きく2つのスキームがあること、そして2つのスキームのどちらを採用するかにより、検討が必要な論点や再編コストが異なってくることはご存知でしょうか。
2つの手法の紹介と、それらの手法の再編時の論点についてお話します。
持株会社化への手法と検討ポイント
持株会社化への手法としては、以下の2種類が考えられます。
手法1会社分割(抜け殻方式)スキーム
手法2株式移転→会社分割スキーム
2つの手法を比較した場合、管理部門又は本業のどちらを移転対象とするかが大きく異なってきます。
仮に本業を移転する場合<手法1>には、不動産、顧客・取引先、従業員の移動を伴うため、会社の規模が大きい場合には、移転に関する論点の検討だけでも多大な労力を要することになります。
例えば、従業員が多数移転する場合には、住民税均等割への影響の他、健康保険組合の加入に影響は無いかなど事前に検討が必要となります。
なお、会社分割の手法の場合、労働契約承継法により必要な手続きが定められており、従業員や労働組合との協議等、一定の期間を要しますので、全体スケジュールを検討する際は、この点も考慮する必要があります。
また、本業が建設業や運送業のように、許認可がないと事業が行えない業種の場合には、それぞれの許認可を主管する行政機関等に事前に相談が必要となる他、会社分割による承継が難しい場合には、新設会社で事前に許認可を新規取得することも視野に入れておく必要があります。
さらに、不動産を移転する場合、登録免許税、不動産取得税が発生することから、事前に移転に伴うコストを試算しておく必要があります。
一方で、管理部門を移転するケース<手法2>においては移転対象となる資産や従業員の範囲は少なくなりますが、上場会社においては全く新しい会社が上場の対象となるため、新設会社の上場手続(テクニカル上場)が必要になります。
また、持株会社化の過程で、複数の会社の事業や管理部門の組織再編による統合を行う場合、再編後の労働条件をどのように設定するかを検討する必要があります。
組織再編後の労働条件を統一するパターンとして、次の3つがあげられますが、組織再編までに時間的な余裕がない場合には、再編当初は再編前の労働条件をそれぞれに適用し、再編1年後程度を目途に統一することも考えられます。
組織再編後の労働条件の設定
- ■当面2つの制度(労働条件)を適用し、将来的に統一する
- ■どちらかの制度(労働条件)に統一する
- ■新しい制度(労働条件)を決めて統一する
持株会社化に向けた実行支援
これまでみてきたように、持株会社化にあたり検討すべき論点は複雑かつ多岐にわたります。
そこで、当社が提供するのは、会計税務といった特定の分野の論点に対応するご支援ではなく、許認可、人事労務、法務といった複合的な分野の論点に対応するご支援です。
当社には公認会計士、税理士、社会保険労務士などの専門家が多数在籍し、常に連携を取りながら作業を行いますので、会社のニーズに合わせた手法の設計支援を行うことができます。
また、クライアントにとって最適なスキームの選択に向けて、多くの論点を潰しこんでいくことから、「組織再編スキームの立案」に多くの時間を割くことになります。
その後、確定したスキームを実行することになりますが、スキームを考えて後はクライアントにお任せするようなことはなく、法的な手続の支援、利害関係者への説明のサポートなど組織再編が完了するまでご支援します。
この内容を知りたい方は、一度、是非、お問い合わせください。まずは、資料のご請求からでも結構です。