税制改正平成28年度(1)改正前の制度の概要

(1)分割型分割の範囲等

分割型分割は、次の分割とされています(法法 2 十二の九)。
イ 分割の日においてその分割に係る分割対価資産の全てが分割法人の株主等に交付される場合のその分割(法法 2 十二の九イ)
ロ 分割対価資産が交付されない分割で、その分割の直前において、分割承継法人が分割法人の発行済株式等の全部を保有している場合又は分割法人が分割承継法人の株式(出資を含みます。以下同じです。)を保有していない場合のその分割(法法 2 十二の九ロ)
また、分割対価資産は、分割により分割法人が交付を受ける分割承継法人の株式その他の資産とされています(法法 2 十二の九イ)。

(2)適格現物出資の対象となる現物出資の範囲

適格現物出資の対象となる現物出資は、外国法人に国内資産等の移転を行うもの及び外国法人が内国法人に国外資産等の移転を行うもの並びに新株予約権付社債に付された新株予約権の行使に伴うその新株予約権付社債についての社債の給付を除き、現物出資法人に被現物出資法人の株式のみが交付されるものに限ることとされています(法法 2 十二の十四)。
(注 1 )「国内資産等」は、国内にある不動産、国内にある不動産の上に存する権利、鉱業法の規定による鉱業権及び採石法の規定による採石権その他国内にある事業所に属する資産(外国法人の発行済株式等の総数の25%以上の数の株式を有する場合におけるその外国法人の株式を除きます。)又は負債とされています(法令 4 の 3 ⑨)。
(注 2 )「国外資産等」は、国外にある事業所に属する資産(国内にある不動産、国内にある不動産の上に存する権利、鉱業法の規定による鉱業権及び採石法の規定による採石権を除きます。)又は負債とされています(法令 4 の 3 ⑨)。

(3)共同で事業を営むための分割の範囲及びその適格要件

共同で事業を営むための分割のうち次の要件の全てに該当するものは、適格分割として、その分割により移転する資産及び負債の譲渡損益の計上を繰り延べることとされています(法法 2 十二の十一ハ、法令 4 の 3 ⑧)。
ただし、分割型分割に係る分割法人の株主等の数が50人以上である場合には、次のイからホまでの要件の全てに該当するものとされています。
イ 分割事業と分割承継事業とが相互に関連するものであること(事業関連性要件)。
ロ 分割事業と分割承継事業のそれぞれの売上金額等の割合がおおむね 5 倍を超えないこと又は分割法人の役員等のいずれかと分割承継法人の特定役員のいずれかとが分割後に分割承継法人の特定役員となることが見込まれていること(事業規模要件又は特定役員引継ぎ要件)。
(注)「特定役員」とは、社長、副社長、代表取締役、代表執行役、専務取締役若しくは常務取締役又はこれらに準ずる者で法人の経営に従事している者をいいます(法令 4 の 3 ④二)。
ハ 分割事業に係る主要な資産及び負債が分割承継法人に移転していること(主要資産等移転要件)。
ニ 分割事業に係る従業者のうちその総数のおおむね80%以上相当数の者が分割承継法人の業務に従事することが見込まれていること(従業者引継ぎ要件)。
ホ 分割事業が分割承継法人において引き続き営まれることが見込まれていること(事業継続要件)。
ヘ 分割法人の株主等で分割型分割により交付を受ける分割承継法人の株式の全部を継続して保有することが見込まれる者等が有するその分割法人の株式の合計数がその分割法人の発行済株式等の総数の80%以上であること等(株式継続保有要件)。

なお、共同で事業を営むための分割は、無対価分割(分割法人に分割承継法人の株式その他の資産が交付されない分割をいいます。)にあっては、分割承継法人が分割法人の発行済株式等の全部を保有する関係がある分割型分割又は分割承継法人及び分割承継法人の発行済株式等の全部を保有する者が分割法人の発行済株式等の全部を保有する関係がある分割型分割に限ることとされています。

(4)共同で事業を営むための株式交換又は株式移転の適格要件のうち役員継続要件

共同で事業を営むための株式交換の適格要件のうち役員継続要件は、その株式交換前の株式交換完全子法人の特定役員のいずれかがその株式交換に伴って退任をするものでないこととされています(法令 4 の 3 ⑯二)。
また、共同で事業を営むための株式移転の適格要件のうち役員継続要件は、その株式移転前の株式移転完全子法人又は他の株式移転完全子法人の特定役員のいずれかがその株式移転に伴って退任をするものでないこととされています(法令 4 の 3 ⑳二)。

(5)共同で事業を営むための合併、分割又は株式移転の適格要件のうち株式継続保有要件

共同で事業を営むための合併、分割又は株式移転の適格要件のうち株式継続保有要件について、その合併に係る被合併法人、その分割に係る分割法人又はその株式移転に係る株式移転完全子法人の株主等の数が50人以上である等の場合には、この要件を除外することとされています(法令 4 の 3 ④⑧⑳)。

(6)共同で事業を営むための株式交換又は株式移転の適格要件のうち事業継続要件

共同で事業を営むための株式交換の適格要件のうち事業継続要件は、株式交換に係る株式交換完全子法人の子法人事業(親法人事業と関連する事業に限ります。)がその株式交換完全子法人において引き続き営まれることが見込まれていることとされており、株式交換後にその株式交換完全子法人を被合併法人等とする適格合併等によりその子法人事業が移転することが見込まれている場合には、その子法人事業(合併等移転子法人事業)がその株式交換後にその株式交換完全子法人において営まれ、その適引き続き営まれることが見込まれていることとされています(法令 4 の 3 ⑳四)。

(7)適格株式移転における支配関係継続要件

適格株式移転における支配関係継続要件は、株式移転後にその株式移転に係る株式移転完全子法人と他の株式移転完全子法人との間にその株式移転に係る株式移転完全親法人による完全支配関係が継続することが見込まれていることとされており、その株式移転後にその株式移転完全子法人及び他の株式移転完全子法人を被合併法人とし、その株式移転完全親法人を合併法人とする適格合併を行うことが見込まれている場合には、その株式移転の時からその適格合併の直前の時までその株式移転完全親法人がその株式移転完全子法人及び他の株式移転完全子法人の発行済株式等の全部を保有する関係が継続すること等とされています(法令 4 の 3 ⑰二⑲一ロ・二ロ⑳六イ⑵)。

(8)株式交換完全親法人又は株式移転完全親法人が適格株式交換又は適格株式移転により取得した株式交換完全子法人又は株式移転完全子法人の株式の取得価額

株式交換完全親法人が適格株式交換により取得した株式交換完全子法人の株式の取得価額は、その適格株式交換の直前におけるその株式交換完全子法人の株主の数が50人以上である場合には、その株式交換完全子法人の簿価純資産価額に相当する金額とされています(法令119①九ロ)。
(注 1 )「簿価純資産価額」は、その株式交換完全子法人のその適格株式交換の直前の資産の帳簿価額からその適格株式交換の直前の負債の帳簿価額を減算した金額をいい、その株式交換完全親法人がその適格株式交換の直前にその株式交換完全子法人の株式を有していた場合には、その金額にその株式交換完全子法人のその適格株式交換の直前の発行済株式の総数のうちにその適格株式交換により取得をしたその株式交換完全子法人の株式の数の占める割合を乗ずる方法、上記の「その株式交換完全子法人のその適格株式交換の直前の資産の帳簿価額からその適格株式交換の直前の負債の帳簿価額を減算した金額」を「その株式交換完全子法人のその適格株式交換の直前の基準株式数」で除し、これに「その適格株式交換により取得をしたその株式交換完全子法人の各種類の株式の数にその種類の株式に係る株式係数を乗じて得た数の合計数」を乗じて計算する方法その他合理的な方法により計算した金額とすることとされています(法令119①九ロ、法規26の 9 )。
(注 2 )「その株式交換完全子法人の簿価純資産価額に相当する金額」は、その株式交換完全子法人の株式の取得をするために要した費用がある場合には、その費用の額を加算した金額とすることとされています。
(注 3 )「適格株式交換」には、「適格株式交換に該当しない法人税法施行令第119条第 1項第 8 号に規定する株式交換でその株式交換の直前にその株式交換に係る株式交換完全親法人と株式交換完全子法人との間に完全支配関係があった場合におけるその株式交換」を含むこととされています。

また、株式移転完全親法人が適格株式移転により取得した株式移転完全子法人の株式の取得価額は、その適格株式移転の直前におけるその株式移転完全子法人の株主の数が50人以上である場合には、その株式移転完全子法人の簿価純資産価額に相当する金額とされています(法令119①十一ロ)。
(注 1 )「簿価純資産価額」は、その株式移転完全子法人のその適格株式移転の直前の資産の帳簿価額からその適格株式移転の直前の負債の帳簿価額を減算した金額をいいます。
(注 2 )「その株式移転完全子法人の簿価純資産価額に相当する金額」は、その株式移転完全子法人の株式の取得をするために要した費用がある場合には、その費用の額を加算した金額とすることとされています。
(注 3 )「適格株式移転」には、「適格株式移転に該当しない法人税法施行令第119条第 1項第10号に規定する株式移転でその株式移転の直前にその株式移転に係る株式移転完全子法人と他の株式移転完全子法人との間に完全支配関係があった場合におけるその株式移転」を含むこととされています。

(9)合併及び分割による資産等の時価による譲渡

内国法人が合併又は分割により合併法人又は分割承継法人にその有する資産及び負債の移転をしたときは、その移転をした資産及び負債のその合併又は分割の時の価額による譲渡をしたものとして、その内国法人の各事業年度の所得の金額を計算することとされています(法法62①)。
この場合においては、その合併により資産及び負債の移転をした内国法人(被合併法人)は、その合併法人から新株等(その合併法人がその合併により交付したその合併法人の株式その他の資産をいいます。)をその時の価額により取得し、直ちにその新株等をその被合併法人の株主等に交付したものとすることとされています(法法62①後段)。

平成28年度税制改正

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