税制改正平成29年度あらまし

⑴独立して事業を行うための分割の適格分割への追加
一の法人のみが分割法人となる分割型分割に係る分割法人のその分割前に行う事業をその分割により新たに設立する分割承継法人において独立して行うための分割が、適格分割とされました。

⑵株式分配に係る措置の創設
完全子法人の株式のみが移転する株式分配のうち、完全子法人と現物分配法人とが独立して事業を行うための株式分配として一定の要件に該当するものが、適格株式分配とされ、完全子法人の株式の移転が適格株式分配の直前の帳簿価額による譲渡とされるほか、他の適格組織再編成に準じた措置が講じられました。
(注) 株式分配とは、現物分配(剰余金の配当又は利益の配当に限ります。)のうち、その完全子法人の発行済株式等の全部が移転するものをいいます。

⑶ 吸収合併及び株式交換における対価要件の見直し
吸収合併及び株式交換の適格要件について、合併法人又は株式交換完全親法人の被合併法人又は株式交換完全子法人に対する持株割合が 3 分の 2以上の場合には、金銭その他の資産の交付がある場合にも適格合併又は適格株式交換の要件のうち対価要件を満たすこととされました。

⑷ 完全子法人化の課税関係の統一
全部取得条項付種類株式の端数処理、株式併合の端数処理及び株式売渡請求について、組織再編税制の下に位置づけ、株式交換と同様の適格要件に該当しない場合にはその有する資産の時価評価課税の対象とする一方、その適格要件に該当する場合には連結納税への欠損金の持ち込みを可能とすることとされました。

⑸ 時価評価資産の範囲の見直し
非適格株式交換等に係る株式交換完全子法人等の有する資産の時価評価について、時価評価の対象となる資産の範囲から、帳簿価額が1,000万円に満たない資産が除外されました。

⑹ 全部取得条項付種類株式の端数処理に係るみなし配当
みなし配当の額が生ずる事由となる自己の株式の取得から除外される特定の事由による取得における事由に、全部取得条項付種類株式を発行する旨の定めを設ける定款等の変更に反対する株主等の買取請求に基づく買取りが追加されました。

⑺ 適格要件の見直し
① 完全支配関係又は支配関係がある法人間で行われる分割型分割に係る株式の保有関係に関する要件について、支配株主と分割法人との間の完全支配関係又は支配関係が継続することが見込まれていることが不要とされました。

② 共同で事業を行うための合併、分割型分割、株式交換及び株式移転に係る株式継続保有要件について、交付される合併法人の株式等のうち支配株主に交付されるもの(対価株式)の全部が支配株主により継続して保有されることが見込まれていることとされました。

③ 当初の組織再編成の後に他の組織再編成が行われることが見込まれている場合における当初の組織再編成の適格要件について、所要の整備が行われました。

④ 株式交換及び株式移転に係る株式の保有関係に関する要件及び支配関係継続要件について、所要の整備が行われました。

⑻ 欠損金の引継ぎの制限及び切捨て並びに特定資産に係る譲渡等損失額の損金不算入における対象資産の取得時期等の見直し
① 適格合併等が行われた場合の欠損金の引継ぎの制限
被合併法人等の未処理欠損金額に含まないこととされる欠損金額(引継対象外未処理欠損金額)の計算について、特定資産譲渡等損失額に相当する金額の基因となる資産が、支配関係発生日の属する事業年度開始の日前から有していた一定の資産(改正前:支配関係発生日において有する一定の資産)とされました。

② 適格組織再編成等が行われた場合の欠損金の切捨て
内国法人の欠損金額からないものとされる欠損金額(制限対象欠損金額)の計算について、上記①と同様の改正が行われました。

③ 特定資産に係る譲渡等損失額の損金不算入
イ 特定保有資産の範囲が、支配関係発生日の属する事業年度開始の日前から有していた一定の資産(改正前:支配関係発生日前から有していた一定の資産)とされました。
ロ 特定引継資産から除外される資産に、支配関係法人が支配関係発生日の属する事業年度開始の日以後に有することとなった資産が追加されました。

⑼ 営業権の償却限度額並びに資産調整勘定及び差額負債調整勘定の損金及び益金算入額の計算方法の見直し
① 事業年度の中途において事業の用に供した営業権のその事業年度の償却限度額について、月割計算を行うこととされました。
② 資産調整勘定の金額及び差額負債調整勘定の金額について、これらの金額が生じた非適格合併等の日の属する事業年度において減額して損金の額及び益金の額に算入しなければならない金額は、月割計算を行うこととされました。


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