持株会社制とカンパニー制、どちらがいい?
持株会社制は、持株会社を作って関連各社をグループ会社化してグループ経営に移行することを意味します。一方でカンパニー制(社内カンパニー制とも言いますね)は、会社はあくまでも1社体制のまま、社内に仮想の会社を複数設けたものと考えて運営することをいいます。
「この二つ、どちらが我々には向いているのでしょうね?」というお問い合わせをいただくことが最近多くなっています。
もともと関連会社が複数ある体制の状態でのご相談であれば、持株会社制をまずはお奨めします。
もともと別々の法人として大なり小なり制度・風土・意思決定・手続・慣行があるケースが多く、グループ全体の方針を統一し、束ね、引っ張っていく必要がありますが、この場合は「持株会社の方針に合わせる」と決め事にしてしまうことが同意を得やすく、早く統一しやすいというのがその理由です。
一方で、今まで一つの会社でやってこられたケースで、事業ごとに意思決定のスピードを上げ、事業相互の協力体制を作ってより一層発展させたいというケースの場合には、社内カンパニー制をまずはお奨めします。
このようなケースの場合、一つの会社であることが求心力であることが多く、また対外的取引や許認可など、別会社ではなかった理由が存在する可能性もありますから、まずは擬似的に社内で仮想の会社を作ったと仮定して運営することで、一つの会社のなかに持株会社制度のいいところを取り込んでみるという発想です。
最近では、まずは株主構成の観点から、株式交換や株式移転の手法で持株会社制に移行するとともに、グループの中核会社についてはグループ運営に移行する準備期間として社内カンパニー制でテスト運用して事業遂行場問題が生じないように諸準備を行い、社員一同の意識改革(持株会社、資本構成上上位になる親会社が偉いという発想をなくす)を行った上で完全持株会社制に移行するケースも増えています。
持株会社制も社内カンパニー制も、グループ全体を良くすること、そして発展して続いていくことが最終目標であり、手段に過ぎません。
どちらがいいのか、正解はなく最適解を選ぶ形になりますが、大事な選択肢です。
お困りの際は是非御相談下さい。
(執筆:神原)