公正な譲渡価額
持分譲渡を行う際、譲渡価額は重要な要素です。
ビジネス上の観点からも重要ですし、税務上の観点からも譲渡損益(=課税額)に直結するため、税務当局は注視しています。
譲渡価額は当事者間の合意で決定されるのが基本です。
ただし、この価額が税務上適正でないと判断した場合、中国税務局は税務上適正な価額に調整(して課税)することとなります。
では、どのようなケースが問題となりえるのでしょうか?
中国で実務上、最も多く問題となるのは対象企業が土地使用権を保有しているケースです。
中国では、この数十年地価が継続して上昇しています。
このため、10年前に取得した土地使用権の時価が取得時の10倍以上になっているケースも多く見られます。
債務超過企業だから1元で譲渡しようとしても、10年前に取得した土地使用権の価値が数百万元ある場合、本来得るべき数百万元は寄付金と見なされて課税されます。
譲渡価額については、管轄税務局に事前相談し、その指導に従うことが望ましいと考えます。また、税務局が指定する土地評価事務所の鑑定評価書を取得する等、事前に対応策を検討しましょう。
他の事例で見た通り、日本での組織再編に伴って中国で課税されるケースは多く存在しています。譲渡価額を決定する際に、対象会社の資産内容も考慮しなければなりません。
(執筆:井上)