資本金の額はどう決める?
会社分割を行うと「吸収分割」では、吸収分割契約書に、「新設分割」では、新設分割計画書に増加する資本金の額を記載します。では、どうやって資本金の額を決めるのか?
新設分割の分社型であれば、分割事業の株主資本相当額の範囲内で、「資本金、資本準備金、その他資本剰余金」に自由に振り分けることができます。そのため、増加する資本金の額をゼロとすることも可能です。
新設分割の分割型であれば、上記方法と分割法人側で減少させた「資本金、資本準備金、その他資本剰余金、利益準備金、その他利益剰余金」を引き継ぐ方法があります。
吸収分割の場合には、「新設分割の分割型」と同様の方法をとります。
資本金の額の留意点
基本的には、資本金の額は自由に決めることができます。ただし、中小企業の場合には、資本金の額が増加してしまった結果、いろんなところに落とし穴が。
資本金の額が1億円を超えると、「外形標準課税」の適用会社になるため、みなさん注意をされるのですが、下請法による資本金の額の影響や中小企業基本法の資本金の額の影響、許認可事業による資本金の額の影響などは検討しておらず、各法律で定められた中小企業者から外れてしまい、恩典を受けることができなくなってしまったということがないよう細心の注意が必要です。
①下請法の影響
【製造委託・修理委託の場合】 | |||
親事業者となる者 | 下請け事業者となる者 | ||
資本金1,000万円超3億円以下の会社 | ⇔ | 資本金1,000万円以下の会社または個人事業者 | |
資本金3億円超の会社 | ⇔ | 資本金3億円以下の会社または個人事業者 |
【情報成果物作成委託・役務提供委託の場合】 | |||
親事業者となる者 | 下請け事業者となる者 | ||
資本金1,000万円超5,000万円以下の会社 | ⇔ | 資本金1,000万円以下の会社または個人事業者 | |
資本金5,000万超円超の会社 | ⇔ | 資本金5000万円以下の会社または個人事業者 |
②中小企業基本法の「中小企業者」
業種分類 | 中小企業基本法の定義 |
製造業
その他 |
資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社
又は常時使用する従業員の数が300人以下の会社 |
卸売業 | 資本金の額又は出資の総額が1億円以下の会社
又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社 |
小売業 | 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社
又は常時使用する従業員の数が50人以下の会社 |
サービス業 | 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社
又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社 |
③信用金庫法
法人事業者で常時使用する従業員数が300人を超え、かつ資本金が9億円を超える場合には、会員となることができない。
(執筆:眞船)
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