ホールディングス制における連結子会社の効率的管理の実現

■ホールディングス制における連結子会社の効率的管理の実現

ホールディングス制に移行する理由は企業によって様々である。


1.事業責任の明確化と意思決定の迅速化
2.事業特性によるリスクの分散
3.労働実態に応じた人事体系
4.M&Aの防衛など


 

しかし、デメリットもある。

a. 部門業務が会社ごとに重複することによるコスト発生
b. 業績を含む企業情報の隠匿
c. トランザクション(伝票)が多くなり、トレーサビリティが損なわれる

 

 そこで、各企業とグループ全体でのシナジー効果を得ようとするとITによるサポートが不可欠になる。
ビジネス的観点からすると、サプライチェーンとファイナンスの部分でのシステム配置デザインが肝となるといえる。

 

 多くの場合、サプライチェーンには、集約化でコストが下がる部分と、事業によって成長ポイントや管理視点が異なる部分があり、必ずしも共通システム化が理想とは限らないとも考えられる。

しかし、ファイナンスには財務・連結決算などの業務効率化の観点での共通システムには大きな意味がある。さらには各社毎のファイナンス部門をシェアード・サービス化することによるグループ全体での業務負荷軽減も考えられる。

 

 さらに、”デジタルx不確実な時代”と称される現代においては「アジャイル経営」(=変化対応力がある機敏な対応ができる経営)を目指し、グループ全体の事業活動を見渡せる、いわゆる「管理会計」の高度化を目指す企業が非常に多くなった。

 

 ホールディングス制への移行に際して、事業分散メリットとグループ経営とグローバル展開のスピードアップを狙い「シェアードサービスとグローバル展開を視野に入れたシンプル化、さらには見える化を実現するグループ統一会計システムを構築する」というERPプロジェクトが賑わうのも時流に乗っている。

 

 例えば日本オラクル社の顧客事例では、会計HUB(FAH)というモジュールを使い、子会社の基幹システムから収集した売上や仕入、在庫、給与などの実データを共通/標準フォーマットに変換し、入金管理や支払い管理などのOracle ERPの機能に引き渡す。

その後、仕訳を生成し、単体決算、連結決算と処理を進める。今後、新たなM&Aを行って子会社が増えても、統合マスター変換の設定を行えば、すぐに統合会計システムにつなぐことができる。これによって買収から事業統合までの時間を短縮できる。

 

 「各子会社の現場システムを残しながら、会計業務はシェアード会社で効率化運用する。ホールディングスでは各子会社の活動を評価し、よりグループシナジーを生み出すための意思決定が可能になった。」という話である。

ホールディングス制を含むグループ経営の高度化に、統合型ファイナンス・システムの検討をしてみてはいかがだろうか?

日本オラクル株式会社
中島 透

更新日:2020.2.5   タグ:

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