「労働契約承継法」とは

企業再編時における人事労務の重要事項として、組織の見直しにともなうヒトの異動(承継)があります。会社法に基づく「会社分割」においては、「分割会社」と「承継会社等※1」が締結または作成した「分割契約等※2」により、分割会社の権利義務は、承継会社等に対して包括的に承継されます。

※1「承継会社等」とは、「吸収分割」における承継会社、「新設分割」における設立会社をいう

※2「分割契約等」とは、「吸収分割」における分割契約、「新設分割」における分割計画をいう

会社分割においては、個々の労働契約についても、包括的な承継が原則となりますが、一方で、労働契約の承継については、自動的に承継された場合に労働者に与える影響は非常に大きく、会社分割時における労働者保護の観点から、「労働契約承継法(以下、法という)」等により、次の規定が定められています。

  • 労働者及び労働組合への通知
  • 労働契約の承継についての会社法の特例
  • 労働協約の承継についての会社法の特例
  • 会社分割にあたっての労働者の理解と協力を得る手続
  • 商法等改正法附則第5条における労働者との協議の規定

 

具体的な手続きの流れとしては、次のとおりとなります(※株式会社で株主総会の承認を要する場合)。

  • 労働者の理解と協力を得る努力【法第7条】・労働協約の債務的部分の承継に関する労使同意【法第6条】
  • 労働者との協議【商法等改正法附則第5条】

→ 通知期限日までに協議。通知期限日までに十分な協議ができるよう、時間的余裕をみて協議を開始する。

  • 労働者・労働組合への通知【法第2条】

→ 通知日:事前開示事項の備置開始日または株主総会招集通知発出日のいずれか早い日と同じ日が望ましい。

→ 通知期限日:株主総会の2週間前の日の前日

  • 該当労働者による異議の申出【法第4、5条】

→ 異議申出期限日:通知期限日の翌日から株主総会の日の前日までの期間の範囲内で分割会社が定める日

※ 通知日と異議申出期限日との間に少なくとも13日間置く必要がある。

  • 労働契約の承継・不承継【法第3~5条】

 

上記の手続きが適切に行われなかった場合、会社分割にあたっての労働契約の包括的な承継は否認されるため、注意が必要です。

(執筆:福田)

労働承継法をさらに詳しく知りたい場合はこちら ⇒ 労働承継法研究室

更新日:2018.7.30   タグ:

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