5条協議において労働者の合意は必要か?

会社分割における労働契約承継法においては、「7条措置」や「5条協議」といった手続きを行う必要があります。

7条措置とは、会社分割において分割会社に勤務する全ての労働者の理解と協力を得るためのものをいい、5条協議とは、分割会社が分割契約等を作成するにあたり、労働契約の承継について、個別労働者の希望を聴取することによって、一定の労働者保護を図るものをいいます。

 

【図表 7条措置と5条協議の概要】

7条措置

5条協議

実施時期 5条協議開始までに開始 2条通知をすべき日まで
対象労働者の範囲 分割会社が雇用する労働者 a)承継される事業に従事している労働者

b)承継される事業に従事していないが、分割契約等にその労働契約を承継する定めのある労働者

手続き 会社分割を行う背景や理由、分割する事業等に主として従事する労働者か否かの判断基準等について、全ての事業場における過半数労働組合(ない場合は過半数代表者)と協議 会社分割後に勤務する会社の概要、分割する事業等に主として従事する労働者か否かの考え方、承継の有無等について、対象労働者との協議(労働者が労働組合を代理人とした場合は、その労働組合)

分割会社は5条協議の内容について、承継される事業に従事している労働者と十分な協議が必要となりますが、その結果について「合意」までは求められていません。

一方で、日本アイ・ビー・エム(会社分割)事件(最高裁第2小法廷平成 22年7月 12 日判決)では、5条協議が全く行われなかったとき、または5条協議が行われた場合であっても、分割会社からの説明や協議の内容が著しく不十分であるため、5条協議の趣旨に反することが明らかな場合には、労働契約承継の効力を争うことができるとされています。

また、同じく7条措置においても、十分な情報提供等がなされなかったために5条協議がその実質を欠くことになった等、特段の事情がある場合には、7条措置自体が問題になるともされていますので、7条措置、5条協議いずれも法に則り、適切な対応が必要となります。

(執筆:福田)

 

労働承継法をさらに詳しく知りたい場合はこちら ⇒ 労働承継法研究室

更新日:2019.8.9 ,  タグ: ,

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