株主に銀行がいる場合の持株会社化の注意点
持株会社化の手法にはいくつかありますが、株式交換の場合で、その株主に銀行がいる場合には注意が必要です。
株式交換の場合、その交換比率次第では、保有割合が株式交換前に比べて増える場合があります。
その株主の中に銀行がいる場合には、株式交換後に、その保有割合が5%を超える場合があります。
ただ、独占禁止法第11条では「銀行業又は保険業を営む会社は、他の国内の会社の議決権をその総株主の議決権の百分の五を超えて有することとなる場合には、その議決権を取得し、又は保有してはならない。」と定められており、銀行が事業会社の株式の5%超を保有することは認められていません。
そのため、株主に銀行がいる場合には、事前にシミュレーションを実施して株式交換後の保有割合を確認したうえで、もし保有割合が5%を超える場合には、事前に銀行に報告をし、対策を検討する必要があります。
なお、この5%判定のポイントは、「議決権ベース」であり「所有権ベース」ではないということです。
そのため、具体的には下記のような対応策が考えられます。
①5%を越える部分の株式を買取る
②5%を超える部分の株式を無議決権化する
上記①は、誰が買取るかについて検討が必要です。
発行法人が買取る場合には、みなし配当が発生するので注意が必要です。
また、法人が買取るか個人が買取るかによって税務上の時価が異なりますので、この点にも注意が必要です。
上記②は、種類株式を導入する方法です。
現状で種類株式を発行していない場合には、まず種類株式発行法人に変更する必要があります。
また、無議決権株式には配当優先を設定することが一般的ですので、配当優先の倍率も併せて検討する必要があります。
なお、上記の対応策は各銀行によって異なりますので、事前に相談することをお勧めします。
(執筆:島村)