中国子会社の清算
日本本社で組織再編を進める中で、グループ全体の収益改善のため中国子会社を清算するという結論に辿り着くこともあり得ます。
中国子会社清算においてハードルとなる論点を以下にまとめました。
①税務
中国における外商投資企業(外資系企業)が撤退する場合、清算手続の中で税務調査が行われます。
税務当局からすると最後の徴税機会となるため、過去に納税漏れがなかったか厳しく調査が行われます。
過去に正当な納税を行っていれば大きな問題となることはないと考えます。
②税関
税務と同様、過去に関税等の納付漏れがないか調査が行われます。
こちらも過去に正当な処理を行っていれば大きな問題となることはないでしょう。
③労務
清算の過程で全従業員を解雇しなければなりません。
この際、労働争議に発展するケースもあり、争議が決着しなければ清算手続もストップしてしまうこととなります。
このため、事前のスケジューリングが重要になります。
業務停止、全従業員への説明会、合意書へのサイン、経済補償金の支給、清算手続が完了するまでの事務処理要員の手配等、綿密に(しかも隠密に)準備しなければなりません。
特に情報の管理が重要です。清算の情報が流れるとその時点でストライキが発生する可能性があります。
現在では日系企業にもノウハウが蓄積されてきたためか、以前のような激しい労働争議は少なくなったように思えます。各企業、十分な事前準備を行った上で清算手続きを行っているのではないかと推察されます。
(執筆:井上)