持株会社体制での連結納税制度の活用②
以前、「持株会社体制での連結納税制度の活用①」の中で
持株会社をつくるときの手法として、株式移転と株式交換を検討する場合に、株式移転の場合だと、連結納税制度の導入開始時期を1期早めることができる場合がある
と書きましたが、今回はその内容についてご説明させて頂きます。
まず、株式交換の場合ですが、既存の会社を親会社としますので、通常の連結納税の申請期限と同様です。
つまり、『その適用を受けようとする事業年度開始の日の3ヶ月前までに「連結納税の承認の申請書」を提出』します。
次に、株式移転の場合ですが、連結納税の申請期限について、上記株式交換の場合の原則に対して、以下の2つの特例が設けられています。
株式移転の場合の提出期限の特例
1. 設立事業年度から連結納税の適用を受けようとする場合
次の①と②のいずれか早い日までに「連結納税の承認の申請書」を提出
① 設立事業年度開始日から1ヶ月を経過する日
② 設立事業年度終了の日から2ヶ月前の日
2. 設立事業年度の翌事業年度から連結納税の適用を受けようとする場合
次の①と②のいずれか早い日までに「連結納税の承認の申請書」を提出
① 設立事業年度終了の日
② 設立翌事業年度終了の日から2ヶ月前の日
以下に具体例を示します。
【上記1の具体例】
<前提:9月決算、6/1設立、設立1期目から連結納税の適用を受ける>
①設立事業年度開始日から1ヶ月を経過する日(6/30)が、②設立事業年度終了の日から2ヶ月前の日(7/30)よりも早いため、①6/30までに連結納税の申請書を提出すれば、設立1期目から連結納税の適用を受けることができます。
なお、この設立1期目から適用を受ける場合の特例は、設立1期目が2ヶ月以下の場合には適用できないため、注意が必要です。
【上記2の具体例】
<前提:9月決算、9/1設立、設立2期目から連結納税の適用を受ける>
①設立事業年度終了の日(9/30)が、②設立翌事業年度終了の日から2ヶ月前の日(7/30)よりも早いため、①(設立1期目の)9/30までに連結納税の申請書を提出すれば、設立2期目から連結納税の適用を受けることができます。
持株会社をつくるときは、事業をどのような組織体制で運営していくかが最も大事ですが、運営面に支障がない範囲内で上記のような選択肢(株式移転と株式交換など)があるような場合には、税務メリットが高い方法がどれなのかを検討する価値があると思います。
(執筆:足立)