株式交換(移転)時の落とし穴 ~持株会~

株式交換(移転)時の落とし穴 ~持株会~

 

組織再編の手段の一つとして、株式交換や株式移転の手法を取り入れる会社は数多く存在します。

その手続きの中で、思わぬ落とし穴が存在します。それは株主数の見落としです。

 

税務上、株主の数が「50名未満」か「50名以上」で取り扱いが大きく異なります。

株主が50名以上の場合、「子会社の株式交換直前の税務上簿価純資産額」の処理が必要となり、税務上簿価純資産が高い会社の場合、株価への影響が大きく出てきます。

※詳しくは動画コラム「株式交換完全親法人の税務処理は?」をご参照ください

特に、株主が分散している場合や従業員持株会を導入している会社の場合、その点を考慮せず又は知らなかったとの話がよくあります。

 

持株会とは、持株制度により金銭を拠出して、会社の株式を取得する組織をいいます。

持株制度として、従業員持株会、役員持株会、取引先持株会などがあり、最近では、従業員持株会として自社株式を従業員に保有させることにより、経営の参画意識の向上、業績に応じた配当を支払うことによる業績向上に対するモチベーションの向上、また自社株式を取得させる際に企業側が一定金額を補助するといった福利厚生としての側面があります。

 

従業員規模が小さいほど導入の比率は低いですが、従業員規模が大きくなるにつれて導入の比率が高くなります。

下図の通り、どの従業員規模区分においても約1割の企業が従業員持株会制度の導入を検討していることが分かります。

 

【従業員持株会制度の導入の状況(従業員規模別)】(出所:中小企業白書2018年版)

 

一般的には、株式交換(移転)の税務上の処理に詳しい専門家は多くないため、持株会などの手続きだけを専門家が請負い、その後いざ組織再編をする時に大変な思いをしている会社も見てきました。

 

組織再編の手続きは、思いもしない落とし穴が数多く存在します。

組織再編を少しでも検討されている会社の場合、必ず経験豊富な専門家に相談することをお勧めします。

やってしまってから戻るのは時間や手間だけなく、最悪組織再編自体ができなくなるケースも出てきます。

 

短期的な視点ではなく中長期的な視点を持つ事が重要になる典型ですね。

(執筆:家森)

更新日:2019.4.9 ,  タグ: , ,

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