債務超過の会社は会社分割できる?
結論から申し上げれば、債務超過の会社でも会社分割をすることができます。
つまり、債務超過の事業を分割により切り出すことができるのです。
企業が成長していく過程で、「新規事業を立ち上げること」は当然の流れです。その新規事業が全て順調に利益を生むことができればすばらしいのですが、現実はそうはいきません。新規事業の多くは生き残ることができません。
そして、新規事業が債務を抱えた状態を脱却することができない場合、経営者としては、もし売却できるなら「売ってしまいたい!」、売却できないなら、せめて「切り離したい!」と考えるでしょう。
債務超過の事業があるということは、よいイメージではないですよね。
ただ、どのような事業でも分割により切り出せてしまえば、その新規事業に出資している人への影響は避けられません。
そこで、会社法においては、開示書類の中で「債務の履行の見込みに関する事項」を記載することとされています。文字通り、債務超過の会社でも、その債務をどのように返済する予定かを開示すればよい、と実務では判断されています。
※「債務の履行の見込みがない」、と開示してもかまいません。
そもそも債務超過とは
一般に「債務超過」とは、企業の負債総額が資産の総額を上回る、つまり、会社が解散した場合、すべての資産を処分してもすべての負債を支払うことができない状態を言います。
そして、債務超過の会社が会社分割をしようとすると
①会社分割の結果、分割会社が債務超過になってしまう場合
②承継会社に移転する負債が資産を超過している場合
があります。
②のパターンを回避しようとするあまり、①のパターンを見落とさないように注意しましょう。
(執筆:松岡)