事業承継税制と持株会社は相性が悪い?
昨今、「事業承継」という言葉を至る所で耳にするようになりました。
団塊の世代が70歳を迎え、国難といわれる少子化の波が押し寄せる中で、日本を支える中小企業の技術と雇用を、いかにして守っていくのか。
平成30年の税制改正では、このような時代の中で事業承継に関わる税制が大きく変わりました。
事業承継税制の大改正です。
ちなみに、事業承継税制の内容を端的に申しますと
非上場会社の株式を贈与したり、相続したりした際の税金を猶予する制度です。
この猶予された税金は、後継者が次の世代にバトンタッチしたときに免除されます。
この事業承継税制は、平成21年の創設時から毎年のように改正され、だんだんと使いやすくなってきました。
その中でも、今回の税制改正がひときわ騒がれたのは
●全ての株が猶予の対象になったこと
●代表以外からの贈与も対象になったこと
●後継者は3人まで立てれること
●雇用の8割維持要件が大幅に緩和
が大きな要因です。
この税制の創立時には考えもしなかった使いやすさです。
前置きが長くなりました。
この事業承継税制、実は持株会社化とあまり相性が良くありません。
そもそも事業承継税制は、中小企業の技術と雇用を守るためのものです。
とくに純粋持株会社の場合は、このどちらも備えておりません。
このような会社まで守るのは税制の趣旨に反するのです。
しかし、要件を整えることができれば、事業承継税制の適用を受けることができます。
キーワードは「事業実態」です。
次回以降、持株会社と事業承継税制の適用関係をお話ししていきます。
(執筆:松岡)