対価を誰に割当てるか?の違い
よく会社分割に際して、「物的分割」や「人的分割」といったフレーズを耳にします。
この違いは、承継会社が「承継した事業に対する対価として割り当てる株式」を、分割会社に割り当てるのか、分割会社の株主に割り当てるのかによってかわってきます。
- 物的分割:分社型分割
分割の対価として分割承継会社の株式を「分割会社に」割当てる方法です。
- 人的分割:分割型分割
分割の対価として分割承継会社の株主を「分割会社の株主に」割当てる方法です。
(つまり分社型分割+現物配当=分割型分割ともいえます。)
では「分社型分割」と「分割型分割」はどうやって決めるのか?
分社型分割分割とするか、分割型分割とするかは分割吸収分割契約書(新設分割計画書)に記載することで決定されます。
具体的には、
- 分社型分割:
「分割会社に対して承継会社の株式を分割対価として交付する」と記載します。
- 分割型分割:
上記と併せて「効力発生日において、交付を受けた株式全部を分割会社の株主に対して、剰余金として配当する」と記載します。
つまり分割と同時(効力発生日)に受け取った株式を配当する旨を記載します。
持株会社化にあたってどう使い分ける?
持株会社化にあたって会社分割で事業の切り出しを行う場合に、どちらの方法を選択するですが、それぞれ分割後にどのような資本関係にしたいかによりケースバイケースです。
その中でも、大きく分けると
①親会社から子会社に切り出しを行いたい場合(上から下へ事業を切り出したい)場合
→物的分割(分社型分割)
②子会社が兄弟会社へ切り出しをしたい場合(ヨコからヨコへ)
→人的分割(分割型分割)
を選択するケースが殆どとなります。
(執筆:武部)
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