労働承継法研究室合併における労働保険手続

合併における労働保険手続

合併には、「新設合併」と「吸収合併」の2種類がある。
新設合併を行う会社は、設立した新会社にすべて統合し、解散する。例えば、X社とY社が合併するケースでは、X社とY社は消滅し、新たにZ社がX社及びY社の権利義務を承継することとなる【図表1】。
吸収合併の場合、合併を行う会社のうち、1社が存続会社となって存続し、他の会社は存続会社に吸収されて解散する。例えば、X社が存続会社となって、Y社の権利義務を承継し、Y社は、消滅・解散すると仮定する【図表2】。実際の企業合併では、吸収合併によることが多いが、これは、新設合併のほうが、上場企業の場合には改めて上場申請を要すること等事務手続きの処理が非常に煩雑となることが理由とされる。
上場企業ではないとしても、会社設立等にかかる諸手続きや事務負担が多いため、実務上、会社の合併は吸収合併がほとんどである。したがって、図表2の吸収合併を前提とし、また、合併に伴う人の異動はないもの(社名・支店名が変わるのみ)と想定し、合併に伴う労働保険および社会保険(次項目)の取り扱いについて述べる。

【図表1】

新設合併

【図表2】

吸収合併

吸収合併の際の労働保険に関する手続きは、【図表3】のとおりである。ここでは、合併する側のX社、合併される側のY社ともそれぞれの支店について継続事業一括の認可を受けていることを前提とし、合併後において元Y社支店はX社の被一括事業の認可を受けることを想定した記述とする。
合併した結果、Y社が事業所として物理的に消滅する場合は、「雇用保険適用事業所廃止届」を所轄ハローワークに提出する。
なお、Y社がX社の支店等として継続事業一括の認定を受けない場合、「労働保険継続事業一括認可申請書」の提出は不要である。また、社名変更するときは雇用保険上の手続きとしては、「雇用保険事業主事業所各種変更届」をY社が所轄ハローワークに提出する。

【図表3】

合併されるY社が行う手続き

合併を行うX社の本社が行う手続き

(社会保険労務士 松元 秀俊)

持株会社化のセルフ診断
無料診断・相談会

持株会社の相談窓口

持株会社化や組織再編に関するお悩みやご質問は、みらいコンサルティングの相談窓口までお気軽にご相談ください。

お電話でのご相談

メールでのご相談

 ご相談フォーム