労働承継法研究室合併における労働者保護

合併における労働者保護

労働者保護の手続きを定めた労働契約承継法だが、合併の場合には適用されない。合併においては、労働契約は包括承継、つまり労働条件に(有利・不利問わず)変更の余地がないため、労働者に不利益が生ずるケースが想定されないためである。

(参考)「事業譲渡又は合併を行うに当たって会社等が留意すべき事項に関する指針」より
合併に当たって留意すべき事項」(平成28年厚生労働省告示第318号)

合併における権利義務の承継の性質は、いわゆる包括承継であるため、合併により消滅する会社等との間で締結している労働者の労働契約は、合併後存続する会社等又は合併により設立される会社等に包括的に承継されるものであること。このため、労働契約の内容である労働条件についても、そのまま維持されるものであること。

しかしながら、合併によって複数の人事制度(労働条件含む広義の人事制度)が並存したままになると、運用コストがかさむばかりか、ひとつの組織となったはずの会社内で不平等が発生してしまう可能性もある。
労働者保護の観点は引き続き重要だが、ビジョンの浸透や経営合理化のためにも、中長期的には合併後の組織に適した新たな人事制度の構築が必要である。

(社会保険労務士 吉田 慶太)

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