労働承継法研究室人事部門の見直し(給与計算、社会保険、人事・給与・勤怠システム)

人事部門の見直し(給与計算、社会保険、人事・給与・勤怠システム)

(1) 人事実務が継続的に安定運営できる体制の整備

組織再編により人事部門の人員異動を伴ったり、人事システムが新会社で継続して使用できなくなるケースもある。このような中で定期的に実施している人事業務が滞ったり、大きなミスが生じるリスクが高まるため、まずは人事部門が担っている業務が組織再編後も継続的に安定して運営される体制を整備することが必要である。
具体的に、論点として意識すべき内容は【図表3】の通りである。特に、給与計算に支障が生じた場合は社員の生活に与えるインパクトが大きいため、再編後も円滑に実務が継続されるかどうか、組織再編の実行前に念入りにシミュレーションを行うことが重要である。なお、組織再編により社員の別会社への転籍を伴う場合は、給与が新旧の両方の会社から支給されるケースもあり、複雑な処理が必要となるため注意が必要である。

【図表3】

人事実務 円滑な運営体制の整備に向けた主な事前確認事項
給与計算 ・給与システムを新会社に引継ぎは可能か?
・再編後の給与計算は誰が担当するか?
・再編により給与計算の締日・支払日に変更はないか?
社会保険手続 ・再編後の社会保険手続は誰が担当するか?
・再編前後で雇用継続給付金等の継続的な手続は漏れなく引き継がれるか?
・社労士事務所等に業務委託している場合は、委託先の継続は可能か?
勤怠管理 ・勤怠システムは新会社に引継ぎ可能か?
・再編後の勤務の承認・集計・チェックは誰が担当するか?
・特殊な勤務形態(短時間勤務等)の処理方法は漏れなく引き継がれるか?
その他の定期的に生じる人事実務 ・採用の実務は誰が担当するか?
・教育研修の運営は誰が担当するか?
・福利厚生制度の運用は誰が担当するか?
・労務問題の窓口は誰が担当するか?
・人事評価制度の運用は誰が担当するか?
・有期契約者(パート等)の管理(契約更新実務等)は誰が担当するか?

(2) 人事部門業務の集約を通じた生産性向上

組織再編を通じて人事部門の業務を親会社や持株会社に集約することで、人事実務について効率的な運営を行い、生産性の向上を実現することも可能となる。具体的には、次のようなケースがある。

① 給与計算業務の集約
企業グループ各社ごとに運用していた給与計算業務について、親会社や持株会社に給与計算業務を集約させることで、グループ全体における給与システムの運用費用削減や給与計算業務の効率化に繋がった。
② 採用業務の集約
親会社や持株会社に新卒採用や中途採用の窓口を一本化し、応募受付から面接の実施までの選考プロセスを一元管理したことで、企業グループ全体での採用業務の効率化に繋がった。また、親会社や持株会社のブランド力を生かした採用が可能となるため、グループ各社単体で採用活動を行う場合に比べて、各社の応募者増加に繋がった。
③ 教育研修業務の集約
親会社や持株会社に企業グループ全体での教育研修担当部署を設け、グループ各社で実施していた管理職研修等の教育プログラムの一部を集約して実施するようにした。これにより、グループ全体での教育研修業務の効率化に繋がっただけでなく、グループ内での人事交流が活発になり、組織の活性化にも繋がった。

組織再編のメリットを最大化させるためにも、人事部門業務の重複部分等を集約させ、人事部門の生産性向上を実現していく視点も重要である。

(社会保険労務士 羽淵 崇之)

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