持株会社の株主構成はどのようになっていますか?
事業承継税制の要件として、経営者一族で過半数を所有している必要があります。
もし過半数の確保が難しい場合は、適用を想定しない方が無難です。
(不可能ではありません)
上記の他、細かな要件が多々あるのですが、その中でもっとも重要な要件として、いわゆる「事業実態要件」というものがあります。
この要件をクリアすることができれば、持株会社の事業承継税制への道が大きく開けます。
事業実態を持たせるとは
事業実態要件を説明するためには、資産保有型会社と資産運用型会社の説明をしなければなりません。
資産保有型会社とは(趣意)
資産保有型会社とは、総資産のうちに金融資産や投資不動産など、事業に直接関係のない資産の占める割合が70%以上である会社をいいます。
例えば、持株会社が子会社に事務所として貸し出している賃貸用不動産などが、この「事業に直接関係のない資産」に該当します。
この判定をする場合の「価額」とは、会計上の貸借対照表の「帳簿価額」を言います。
税務上の帳簿価額と間違えやすいので注意してください。
資産運用型会社とは(趣意)
資産運用型会社とは、総収入金額のうちに、上記の「事業に直接関係のない資産」から生ずる収入の占める割合が75%以上である会社をいいます。
例えば、持株会社が有する賃貸用不動産の家賃が該当します。
持株会社がこの「資産保有型会社」や「資産運用型会社」に該当してしまうと、事業承継税制の適用を受けることができません。
このような会社は、前回お話したような、「中小企業の技術や雇用を守る税制」の対象ではない、という意味です。
しかし、ちょっと待ってください。
上記の例でも「賃貸用不動産」は上記の「70%」の判定に含まれる資産になる、とご説明しました。
つまり、「不動産賃貸業者」は、ほぼ確実に資産保有型会社に該当してしまうのです。
「抜け穴」を無くすためにこのような法律にしたのでしょうが、不動産貸付業も立派な事業です。
もっと言えば、事業に真剣に取り組み、多くの利益を出し、安定収益を上げるために不動産投資や株の投資を行なった結果、「資産保有型」「資産運用型」に該当していまうケースも考えられます。
このような会社を適用不可としていまうのはおかしいですよね?
そこで「事業実態」という考え方がでてきます。
次回、この「事業実態」を満たす要件についてお話いたします。
(執筆:松岡)