活用できれば大きな効果!平成30年改正の「登録免許税の軽減」特例
平成30年の税制改正において、事業承継税制の改正が大きく取り上げられておりました。
大廃業時代を見据え、後継者に対していかに事業を承継してもらうか、「国策」として抜本的な改革が行われ、株の移転に莫大な税金がかかる会社にとっては大きな恩恵を受けることができるようになりました。
また、平成31年の税制改正に関する記事もちらほら出てきました。
いままでスポットが当てられていたのは法人経営者の事業承継でしたが、来年度は「個人事業主」の事業承継制度を整える動きがあるようです。
(参考:経済産業省WEBサイトより)
http://www.meti.go.jp/main/yosangaisan/fy2019/pdf/01_11.pdf
小規模宅地等の特例がさらにさらに拡大、建物にも、さらには機械等の事業資産の全般に適用されるようなイメージでしょうか。
今度の動向に注目です。
(富裕層の節税に使われる可能性を排除するため、複雑な適用要件になりそうですね)
実は、平成30年の事業承継税制の改正のため影が薄くなっていたのですが
持株会社化の検討において、無視できない税制が創設(正確には創設&改正)されておりました。
持株会社化に当り、ホールディング会社に不動産を集約することは多くあります。
この際、不動産の名義を「子会社である事業会社」からホールディング会社へ変更することが必要なのですが、ここで登記上の所有者を変更することで「不動産取得税」と「登録免許税」が発生します。
※詳しくは
不動産取得税についてはこちら
登録免許税についてはこちら
をご覧ください。
これらの税金、「バカにならない」のです。
不動産取得税については一定の要件のもと免除をうけることもあるのですが(詳しくはこちらとこちら)、登録免許税については、分割による移転の場合「固定資産税評価額×2%」の税金が発生します。
もし移転したい不動産の固定資産税評価額が20億円だとすると4千万円の税金が発生します。
<計算式>
2,000,000,000円 × 2% = 40,000,000円
「バカにならない」のです。
しかし、平成30年の税制改正により、一定の要件を満たす場合は、この登録免許税が減額されることとなります。
上記の「例」の場合、登録免許税は2%から0.4%に減額されることとなります。
(出展:中小企業庁WEBサイト)
<計算式>
2,000,000,000円 × 0.4% = 8,000,000円
差額は32,000,000円。
「無視できない」効果です。
ホールディングス化に際して適用できるのであれば、是非検討したいものです。
しかし、不動産の移転方法によっては適用要件を満たさない可能性もあります。
とくに、今回の特例は
・経済産業省が管轄する「産業競争力強化法」
・中小企業庁が管轄する「中小企業等経営強化法」
の2本が同時に走っている、という複雑さを持っています。
そして、適用要件がそれぞれ異なるようです。
適用を検討される際は、専門家に相談の上、慎重にご検討ください。
(執筆:松岡)
更新日:2020.2.14 会社分割, 税務 タグ: 不動産流通税最新の記事
- 合併の際のシステム対応 失敗事例(業務プロセス変更もれ)
- 企業が合併する際のシステム対応について
- IPO前に持株会社体制を検討する理由その①:IPOをすることで税金が増える?
- 経営指導料の算定時期は前期実績と当期予測、どちらがよい?
- 会社分割により労働者派遣事業を移転する場合の注意点
カテゴリー
- システム (2)
- 事業承継 (14)
- 総論 (37)
- 会社分割 (50)
- 株式交換 (26)
- 株式移転 (22)
- 合併 (24)
- 税務 (42)
- 会計 (21)
- 労務 (18)
- 法務 (22)
- 相続 (9)
- 海外 (10)
- 動画解説 (72)