持株会社における持株会の活用②
-議決権・配当の調整-
こんにちは。福岡支社の守田です。
非上場企業において、その株式をオーナー一族と持株会(従業員持株会・役員持株会)で持ち合う場合、よく以下の質問を頂きます。
・株式は持株会に一部持って欲しいが、議決権はオーナー一族で保有をしておきたい。
・株式の相続税評価の観点や法人税の観点で、オーナー一族にとって配当は必要ない。持株会にのみ配当を行う事は出来ないか。
平たく言えば、株主が得る権利に関し、各々が株式を保有する目的(オーナー一族:議決権確保・持株会:配当)に応じて調整できないか、ということなのですが、結論から言えば調整可能です。
手段としては、大きく以下の二つに分かれます。
・株式の中身は変更せず、契約を駆使して実施する方法 代表的な手法:信託
・株式の中身そのものを変えてしまう方法 代表的な手法:種類株式・属人的株式
今回は、持株会にてよく活用されている種類株式・属人的株式に関して取り上げていきたいと思います。
◆種類株式
「普通株式」「配当優先株式」など、株式毎に種類や性質を決めることが出来る株式。
◆属人的株式
株式を保有する株主の属性によって、株式の中身を決めることが出来る株式。
(例:オーナー一族が持つ株式は議決権保有株式・持株会が持つ株式は配当優先株式 など)
種類株式と属人的株式の使い分けに関しては今後のコラムで触れる予定ですが、これらの方法を使用することで、
・オーナー一族: 議決権有・配当無し(もしくは1倍)
・持株会: 議決権無・配当有り(もしくは2倍)
など、株主の保有目的に沿った調整が可能となります。
※株式の調整内容に関しましては、ある程度柔軟に設計可能です。
なお、種類株式・属人的株式の導入のタイミングですが、持株会を新設する場合には、以下の段取りで進めていくケースが多いです。
① 持株会社化など組織再編により株主確定
② 将来の株主構成の検討・決定
③ 種類株式・属人的株式の導入 (株主総会)
④ 持株会の設立・株式の移転
種類株式・属人的株式は、コラム①で触れた、「持株会に持株会社の株式を保有してもらうケース」「持株会に事業会社(子会社)の株式を保有してもらうケース」のどちらでも応用可能となります。
持株会社化(組織再編)後に持株会を導入したいにも関わらず、議決権や配当の問題で持株会の導入を躊躇っているケースにおいては、検討の価値は大きいと思います。
種類株式や属人的株式に関する使い分けや導入方法、留意点などは、少しマニアックな内容となりますので、詳細に関しては、別途コラムにアップさせて頂きます。