合併における社会保険手続
合併には、「新設合併」と「吸収合併」の2種類があり、それぞれの違いについては前項目にて述べたとおりである。本項目では、合併に伴う社会保険の取り扱いについて述べる。
吸収合併の際の社会保険に関する手続きは、【図表1】のとおりである。
【図表1】
雇用保険上、(新設・吸収)合併、(吸収・新設)分割、事業譲渡等の際に、新旧両事業の資本、資金、事業の内容等に密接な関係があり、新旧両事業に実質的な同一性が認められる場合、「同一事業主の認定」の手続きにより、新会社に転籍する従業員の雇用保険の資格喪失・資格取得の手続きは行わない。これらは、事業主の都合による異動の場合に資格喪失・資格取得の手続きを行うと、従業員が雇用保険の受給面で不利益を受けるケースがあるためである【図表2】。
【図表2】雇用保険において同一の事業主として取り扱う場合
ケース | 同一事業主認定に必要な書類例 |
吸収合併 | ① 新旧事業実態証明書 ② 合併契約書 ③ 新旧両法人(商業)登記簿謄本 ④ 雇用保険被保険者名簿 |
新設合併・新設分割 | ① 新旧事業実態証明書 ② 合併契約書 ③ 旧両事業の会社及び新会社の株主総会議事録 ④ 旧両事業の会社及び新会社の法人(商業)登記簿謄本 ⑤ 雇用保険被保険者名簿 |
吸収分割 | ① 新旧事業実態証明書 ② 事業の分割を決議した議事録 ③ 新会社の法人(商業)登記簿謄本 ④ 雇用保険被保険者名簿 |
事業譲渡 | ① 新旧事業実態証明書 ② 事業譲渡契約書 ③ 譲渡元・譲渡先の法人(商業)登記簿謄本 ④ 雇用保険被保険者名簿 |
(社会保険労務士 松元 秀俊)