グループなのに、独占禁止法って関係ある!?
組織再編をする際に重要な規定が「独占禁止法」です。
独占禁止法は、本来は第三者をM&A等をするときに市場独占することで不公平な行動をさせることを防ぐ規定です。
普通に考えればグループ内の再編は適用除外されるのですが、適用されるケースも実はあるのです。このあたりが組織再編のややこしいところです。
再編のなかでも適用がされやすいのが「株式交換」になります。株式交換については、独禁法上特別な規定がない(他の再編手法には例外規定があります)ため、株式取得と同様の扱いとなり、
① 企業結合集団の国内売上高合計額 200億円超の会社が
② 会社及びその子会社の国内売上高合計額50億円超の会社の株式を
③ 20%または50%を超えて取得する時
の株式交換は届出が必要となります。
企業結合集団とは
上記の考え方を整理する上で理解しなければならない考え方が「企業結合集団」です。
独禁法10条2項の「企業結合集団」の定義によると、ピラミッドの一番上に来る事業体は会社に限ることになっています。つまりは、個人が保有している会社同士は「別の企業結合集団」となり、独占禁止法の適用を受けることになるということです。
具体的に説明します。
下記の図のように個人株主Aが保有している会社PとSが株式交換で子会社化したとします。
その際にP社の売上が200億円超であり、S社の売上が50億円超だとすると、本来は同じ株主でグループ経営していたとしても、独占禁止法上は別の企業結合集団という扱いとなり、届出が必要となります。
独占禁止法の適用を受ける株式交換ですと、事前相談が必要となり、実行スケジュールに影響が出てきます。
特に株主が一緒である非上場企業ですと、忘れやすいポイントになりますので、注意して検討してください。
(執筆:西村)