事業再構築補助金における「事業再編」とは?スケジュールに要注意!
事業再構築補助金の公募がついに開始されました。
この事業再構築補助金は、既にさまざまなメディアで取り上げられていますが、総予算は1兆1485億円。
「超大型補助金」と言われています。
2021年に実施される予定の「IT導入補助金」、「ものづくり補助金」、「持続化補助金」で総予算は2300億円といわれており、これらと比較しても規模の大きさが伺えます。
(事業再構築補助金の詳細は下記サイトからご覧ください)
【経済産業省サイト】
2021年4月上旬、いよいよ補助金の全貌が明らかになってきました。
この補助金では、申請要件を満たすための手法として、「事業再編」という枠が掲げられています。
この事業再編とはどのようなものを指すのでしょうか?
事業再編は「持株会社研究所」の”ど真ん中”論点となりますので、本コラムで解説をしていきたいと思います。
事業再構築補助金の目的(再確認)
まず、事業再構築補助金とはどのような目的で実施される制度なのでしょうか?
経済産業省公表の「事業再構築補助金の概要」には、
「ポストコロナ・ウィズコロナの時代の経済社会の変化に対応するため、中小企業等の思い
切った事業再構築を支援することで、日本経済の構造転換を促すことを目的とします。」
と記載されています。
コロナウイルスにより大きな影響を受けた企業が、「事業の再構築」、つまり既存事業の業態転換や、新たな設備投資をおこなうことで、変化した社会に対応させた事業への転換を支援するため、これらの投資費用に対して補助金が出る制度です。
事業再構築と事業再編の定義
それでは、この補助金における事業再構築はどのように定義されているのでしょうか?
経済産業省が公表した手引きには、以下のような分類分けがされています。
① 新分野展開
② 事業転換
③ 業種転換
④ 業態転換
⑤ 事業再編
それぞれの詳細な内容はここでは割愛させていただきますが、上記①~④は、
・「既存事業を廃止して」「新しい事業をおこなう」
・「既存事業を行いながら」「新しい事業をおこなう」
・「既存事業を行いながら」「既存事業で製造方法等を転換する」
ことを指しています。
そして、「事業再編」は、上記①〜④をおこなう事に加えて、
等をおこなう事を言います。
事業再構築補助金は、その制度の目的を鑑みると、「コロナが事業に与えた影響の大きさ」と「新しい施策が企業に与える影響の大きさ」が、採択率に影響するように見て取れます。
経済産業省公表のQ&Aでは「特定の類型が他の類型に比べ、一律に高く評価されることや加点されることはありません。」とありますが
事業再構築を、組織再編のスケールでおこなうことは、公募要領にも記載がある「思い切った大胆な再構築」とされ、補助金の採択率に少なからず影響を与えることになるのではないでしょうか?
想定されている具体例
「事業再編をおこなうことが有利である可能性がある」といっても、事業再編は簡単にできるものではありません。
また、事業再編は当然のように本業にも大きな影響があるため、「事業再編をおこなうことが新たな展開をおこなう上でのメリットになる」といえる必要があります。
では、事業再編をおこなうにあたって、どのようなケースが想定されるのでしょうか?
(1)具体例:会社分割
例えば、新分野展開であれば、以下のようなストーリーが考えられます。
このように、新たに取り組むb事業を分社化することで独立採算化を行い、「業績の見える化」や、「意思決定の迅速化」をおこなうことでよりスピーディな展開が可能になります。
(2)具体例:合併
また、合併により業態転換をおこなうストーリーとしては以下のような展開が考えられるでしょう。
(3)具体例:M&Aと会社分割
M&Aと会社分割を行い、新会社で新分野展開をおこなっていくことも考えられるでしょう。
このような「業態転換」であれば、”再構築性”の観点から見ても非常に有効な施策になるのではないでしょうか。
専門家に相談を
事業再編は、持株会社研究所の各ページでも取り上げているように、様々な論点があり、入念な検討が必要になります。
また、事業再編には許認可等の影響を考慮する必要があり、想定していたスケジュールに間に合わない可能性もあります。
事業再構築補助金を「事業再編」分野での申請をお考えの場合は、事業再編の実行可能性について事前に十分な検討が必要になりますので、お早目に検討を開始することをお勧めいたします。
持株会社研究所でも事業再構築補助金の申請に伴う事業再編の相談をお受けしております。
下記よりお問い合わせください。
https://holdings-mirai.com/form/company/
(執筆:松岡)