1.昨今の人事システム事情
昨今の人事システムは種類が非常に多く、 機能も多岐にわたります。
システムを導入する際に、十分に検討をしておかないと、余計なコストがかかったり、導入後に非効率な運用となってしまうこともあるため、注意が必要です。
そこで、システム導入における検討ポイントについて考察いたしました。
2.人事システムの導入に向けての検討ポイント
(1)現状システムの機能と課題・問題点を把握する
人事システムの導入を検討しているということは、運用上、何らかの課題・問題を感じていらっしゃるのではないでしょうか。
たとえば、以下のような課題・問題が考えられます。
・紙での運用が主体となっていて業務が属人化している。
・ 勤怠システム、給与システムがうまく連動しておらず、不必要な業務が発
生している。
・働き方改革法などの法改正にシステムで対応できていない。
このように、できるだけ多くの課題・問題をあげてみてはいかがでしょうか。
場合によっては、実際に使用している現業各部門の方にヒアリングをおこなうことも有効です。
ただし、システムの導入を検討する際は、立場や視点の違いにより様々な論点が出てきますので、迷走しないためには、常に最初の課題や問題点に立ち返り、システム導入の「目的」がぶれないようにしておく必要がありますのでご注意ください。
また、使用している現在のシステムの機能を正確に把握することも大切です。現状のシステムの何が原因で問題が発生しているのかを正確に把握していないと、新しいシステムに求める機能も見えてきません。
これらは、自社で考えていても解決方法が見つからないことも多々ありますので、システム会社から提案を受ける際、新しいシステムで課題が解決できるかを具体的に確認していただくとよいでしょう。
なお、場合によっては現行のシステムを工夫して使うことで、課題や問題点が解決することもありますので、まずは現状のシステム会社に相談してみることもありではないでしょうか。
(2)大企業と中小企業の検討ポイント
(1)であげたような課題・問題点をもとに、システムを検討していきますが、大企業と中小企業では、検討のポイントが異なります。
①大企業の場合
すでに基幹システムが入っていることが多く、その基幹システムとの兼ね合いが重要です。
そのため、いわゆる「パッケージシステム」では不十分で、カスタマイズが必要となることが多いのが特徴のひとつです。
カスタマイズにあたっては、システム会社に丸投げは厳禁です。自社の業務プロセスを熟知した社員が対応するなど、社内で取り組むことが重要です。
また、それ以外にも、よくある失敗例としては、1つの部の最適を目的としたシステム導入を進めた結果、他の部や・従業員が負担を強いられるようなこともありますので、全体最適の視点を持って、各部で連携を取りながらシステム導入を検討するためにシステム全体を俯瞰する立場の人(最近ではCIOといった方)も重要です。
②中小企業の場合
比較的予算が限られており、運用も流動的におこなうケースが多いため、カスタマイズするシステムではなく、パッケージシステムをおすすめしいます。
運用のポイントは、業務プロセスをシステムに合わせて見直す、といった柔軟な意識を持つことです。
(3)クラウドかオンプレミスか
システムは大きく分類すると「オンプレ型」と「クラウド型」に分類されます。
大きなくくりでいうと、サーバーを自分で用意するのが、オンプレ(オンプレミス)型、サーバーはサービスプロバイダーが用意し、インターネット経由で利用するのがクラウド型です。
当然どちらにも一長一短はありますが、昨今はクラウド型が主流となってきています(金融機関や、病院は自社サーバーを用意してるところが多く、オンプレ型を採用するケースもあります)。
オンプレ型はインターネットからは隔絶されていて基本的に社外と接続できませんので、情報面でのセキュリティを確保しやすいのが特徴です。
一方、クラウド型はどこからでも接続ができ、リモートワークといった柔軟な働き方にも対応しやすいという特徴があるのと、システムにつきもののバージョンアップ やバックアップがスムーズにおこなわれやすい、API 等による他のシステムとの連携がおこないやすい、という利点があります。 どうしても情報セキュリティ、という観点では不安に感じることもあるでしょうが、 社外接続を制限するためにIPアドレス制限・証明書インストール・2段階認証等の有効な対応策もあります。
昨今は、オンプレとクラウドの両方の性質を持ったシステムも出てきていますので、自社の使い方、セキュリティレベルを詳細に確認する必要があります。
(4)カスタマイズについて
システムの標準機能で対応できない場合は、システム会社に依頼してカスタマイズをおこなうことになりますが、部分的にでもカスタマイズをおこなうと、システム更新に手間がかかったり、カスタマイズ部分の保守のためにランニングコストがかかったりすることもありますので、一度立ち止まって、「標準機能の範囲内で対応ができないか」、という観点で検討をしてみることをおすすめします。
カスタマイズを希望される多くの場合において、そもそもイレギュラーな運用をしているケースが見受けられます。イレギュラーな運用は、運用上負荷も大きく、業務の属人化にもつながります。
システム導入時は運用を見直す良い機会ですので、運用をシステムに合わせられないか、一度検討していただければと思います。
(5)API連携について
システムの話になると、最近よく話題になる単語です。
確かに複数のシステムを使用する際に、1つのシステムに入力するだけで他のシステムに連動すると効率的ですし、システムごとに情報が相違することを防げる点は非常にメリットが大きいのではないでしょうか。
ただ、 API 連携といっても、実際は一部の限られた項目しか連携しておらず、各システムで必要な情報は、各システムで入力する必要がある場合もあります。 API 連携の有無も重要ですが、 当初のシステム導入の目的が一番の優先されるべき事項であり、 API 連携という言葉に振り回されないよ
うに注意が必要です。 ただし、たとえAPI連携ができなくても、複数のシステムの情報を一致させることは必要ですので、 CSV によるインポート・エクスポートがスムーズにおこなえるか確認をする必要があります。
3.部門を超えた全体最適について
システム導入の際に陥りやすいポイントを説明したいと思います。
システム会社から提案を受けると、どうしても目新しい機能に目移りし部分最適に陥ってしまうことがあります。そうならないためにも、普段からの情報収集はもちろんのこと、常にシステム導入の目的に立ち返り、また全体的な視点を持ってシステム導入を検討する必要があります。
新しいシステム導入には、従業員に大きな負荷がかかったり、費用が多額にかかったりなど、すべてのトラブルを想定することは困難です。システム導入を成功させるためにも、社内外で信頼できるシステムの専門家相談したり、各部のヒアリングを丁寧に行うなど、慎重に進める必要があります。
4.人事評価システム ミライクのご紹介
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管理部必見!グループ会社の人事評価についての連載コラム
(執筆:竹内)