債務の移転方法は2通り存在
分割で移転する債務をどのように分割承継会社に移転させるか、方法は大きくわけて2通りあります。
- 重畳的債務引受による方法
- 免責的債務引受による方法
「重畳的債務引受」による方法は、債務を引き受けた分割承継会社で、仮にその支払ができなくなった場合には、分割会社が債権者に対して支払いをしなければならない、つまり連帯債務のようなイメージです。
一方で「免責的債務引受」による方法はその反対で、分割で移転した債務は、分割会社側は債務者ではなくなります。
いずれも分割承継会社が債務者となることは代わりがないのですが、分割会社側で分割後もその債務に対して面倒をみるかどうか、の違いです。
誰がどうやって決めるの?
重畳的債務引受とするか、免責的債務引受とするか、いずれを選択するかは「吸収分割契約書」(新設分割の場合は「新設分割計画書」)に明記することとなります。その後、取締役会承認、株主総会決議への承認手続きを踏むこととなります。
(重畳的債務引受の個別具体的要件については、詳しくは専門の弁護士や司法書士に確認)
持株会社化にあたっての留意点
グループ会社内での持株会社化の組織再編を目的として会社分割を行う場合は、重畳的債務引受を選択するケースが多く見受けられます。理由は、重畳的債務引受を選択することによって、組織再編を行う際の手続きの一つとして分割会社の「債権者保護手続」が不要となる場合があるからです。
債権者保護手続は債権者に対するアナウンスや申述期間だけでも1ヶ月以上の期間と手間が必要になってくるため、この手続が不要となるだけでもかなりの手間とコストが省けますよね。
(執筆:武部)