組織再編税制研究室現物出資(その1)

現物出資

100%グループ内の適格現物出資(法法2十二の十四)

現物出資法人と被現物出資法人との間で完全支配関係がある場合において、次の要件を満たしたときは、その現物出資は「適格現物出資」に該当する。

①株式交付要件
現物出資法人に被現物出資法人の株式のみが交付されるものであること。

②株式継続保有要件
・「親子会社関係」のケース
現物出資後も、現物出資法人と被現物出資法人との間に当事者間の完全支配関係が継続することが見込まれていること(法令4の3⑬一)
・「兄弟会社関係」のケース
現物出資後も、現物出資法人と被現物出資法人との間に同一の者による完全支配関係が継続することが見込まれていること(法令4の3⑬二)
なお、適格現物出資は、現物出資法人から被現物出資法人に対してのみ規定されているため、個人が現物出資を実施した場合には、「非適格現物出資」となる。

50%超100%未満グループ内の適格現物出資

現物出資法人と被現物出資法人との間で支配関係がある場合において、次の要件を満たしたときは、その現物出資は「適格現物出資」に該当する。

①株式交付要件
現物出資法人に被現物出資法人の株式のみが交付されるものであること。

②主要資産等引継要件
現物出資事業に係る主要な資産及び負債が被現物出資法人に移転していること。

③従業者引継要件
現物出資直前の現物出資事業に係る従業者(出向受入者も含む)のうち、その総数のおおむね80%以上に相当する数の者が、現物出資後に被現物出資法人の業務に従事すること(現物出資法人の従業員の出向による従事も含む)が見込まれていること。

④事業継続要件
現物出資に係る現物出資事業が、現物出資後に被現物出資法人において引き続き営まれることが見込まれていること。

⑤株式継続保有要件
(「親子会社関係」のケース)
現物出資後も、現物出資法人と被現物出資法人との間に当事者間の支配関係が継続することが見込まれていること(法令4の3⑬一)
(「兄弟会社関係」のケース)
現物出資後も、現物出資法人と被現物出資法人との間に同一の者による支配関係が継続することが見込まれていること(法令4の3⑬二)

外国法人等の現物出資の特例

(1) 内国法人の外国法人に対する現物出資(法令4の3⑩)
内国法人が外国法人に対して資産を移転する現物出資についても、上記適格要件を満たす場合には、適格現物出資となる。
ただし、外国法人に対して国内にある不動産等、鉱業権及び採石権その他国内にある事業所に属する資産(外国法人の発行済株式等の25%以上を有する場合におけるその外国法人の株式を除く。)又は負債の移転を行う現物出資については、「適格現物出資」に該当しない。
なお、平成28年度税制改正によりその移転する国内資産のすべてを外国法人の日本国内の恒久的施設(国内PE)に帰属させるものについては適格現物出資の対象となる。ただし、国内資産に国内不動産、内国法人株式等が含まれている場合、その外国法人の国内PEから国外本店等への内部取引が帳簿価額で行われたものとなる国内資産が含まれる場合には現物出資後にこれらの資産につき内部取引を行わないことが見込まれている場合に限られている。
(2) 内国法人の特定軽課税外国親法人等に対する現物出資(措法68の2の3④)
内国法人が保有する特定軽課税外国子法人の株式を特定軽課税外国親法人等に現物出資する場合には、その現物出資は「適格現物出資」に該当しない。
(3) 外国法人の内国法人に対する現物出資(法令188①十八)
法人税法141条第1号に規定する国内に支店等を有する外国法人(出資外国法人という)が内国法人に対して資産又は負債の移転を行う現物出資を実施した場合において、上記適格要件を満たしたときは、その現物出資は「適格現物出資」に該当する。
ただし、その移転した資産及び負債の適格現物出資の時の価額(時価)がその帳簿価額を超えるときは、さらに次の要件を満たす必要がある。
① 事業継続要件
出資外国法人が適格現物出資の日から適格現物出資の日の属する事業年度終了の日までの間継続して事業継続要件(法人税法141条第1号に規定する外国法人に該当することをいう。)を満たしており、かつ、その後においても事業継続要件を満たすこととしていること。
② 株式管理要件
出資外国法人が適格現物出資の日から適格現物出資の日の属する事業年度終了の日まで継続して株式管理要件(出資外国法人の国内における代表者が、適格現物出資により取得した株式を国内において行う事業に係る資産として管理していることをいう。)を満たしており、その後においても継続して株式管理要件を満たすこととしていること。

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組織再編税制研究室

序章

第1章 組織再編手法

第2章 法人税等の取扱い

第3章 組織再編成の取扱い

第4章 欠損金の取扱い

第5章 特定資産譲渡等損失の損金算入制限

第6章 連結納税における組織再編成の取扱い

第7章 その他の税金の取扱い

第8章 租税回避行為への対応

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