組織再編税制研究室会社法上の組織再編

会社法上の組織再編

吸収型再編と新設型再編

合併、会社分割、株式交換及び株式移転」を総称して組織再編(行為)というが、いずれも会社の基礎組織自体(会社組織、事業体の中身、会社構成員)の大幅な変更を伴う行為であり、会社法第5編に規定されている。
組織再編は、自社と他社(又は他社事業)との関係で行われる自社組織の再編行為だが、これには既存の他社との関係で行われる「吸収型再編」と、新会社との関係で行われる(新会社設立行為となる)「新設型再編」とがある。

吸収型再編には、

  • ① 吸収合併
  • ② 吸収分割
  • ③ 株式交換

3つがあり(計規2③三十三)

新設型再編には、

  • ① 新設合併
  • ② 新設分割
  • ③ 株式移転

の3つがある(計規2③四十一)。

6つの組織再編の中では、吸収合併の事例が最も多く、新設合併はほとんどない。
また、上記組織再編とは別の規定として会社法「第2編株式会社第7章」に「事業の譲渡等」が規定されている。「合併、会社分割、株式交換及び株式移転」と「事業譲渡」は会社法では別の考え方で記載されていることに留意が必要である。

個別承継と包括承継

組織再編において、承継会社に権利義務を承継する方法として「個別承継」と「包括承継」がある。
「個別承継」とは、ある特定承継、つまり複数の個別権利関係を同時に譲渡することとなるため、債務や契約上の地位を承継会社に引継ぐには、個別に債権者や相手方の同意を得る必要があり、煩雑な作業がデメリットとなる。
これに対し、「包括承継」は事業単位でまとめて権利関係が移転するため、債務や契約上の地位を引継ぐ場合でも債権者の個別の承諾を得る必要はないが、別途債権者保護のための手続きが必要となる。
組織再編における債権者保護手続きは、自社の債権者に対して「債権者が一定の期間内に異議を述べることができる旨」を官報等で公告し、かつ会社が知れたる債権者に対しては個別に催告する方法を採用する(会法789②、799②等)。
「個別承継」と「包括承継」の手続き上の差異は次のとおりである。

項目 個別承継 包括承継
組織再編手法 事業譲渡 合併又は分割
資産の移転 個別的に移転 包括的に移転
債務の承継 債権者の個別の承諾が必要 包括的に移転
ただし、債権者保護手続きが必要
許認可の有無 再取得が必要 原則承継される
労働契約 承継されない 承継される

なお、株式交換及び株式移転では、株式のみが移転されるため、原則として債権者保護手続きという問題は生じない。

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組織再編税制研究室

序章

第1章 組織再編手法

第2章 法人税等の取扱い

第3章 組織再編成の取扱い

第4章 欠損金の取扱い

第5章 特定資産譲渡等損失の損金算入制限

第6章 連結納税における組織再編成の取扱い

第7章 その他の税金の取扱い

第8章 租税回避行為への対応

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