株式移転
100%グループ内の株式移転(法法2十二の十八イ)
株式移転完全子法人と他の株式移転完全子法人との間に完全支配関係がある場合又は一の法人のみがその株式移転完全子法人となる場合において、次の要件を満たしたときは、その株式移転は「適格株式移転」に該当する。
①金銭等不交付要件
株式移転完全子法人の株主に株式移転完全親法人又は株式移転完全支配親法人(株式移転完全親法人の100%親会社)のいずれか一方の株式以外の資産が交付されないこと。
②株式継続保有要件
(「親子会社関係」のケース)
一の法人のみが株式移転完全子会社となる株式移転で、株式移転後に株式移転完全親法人と株式移転完全子法人の間に株式移転完全親法人による完全支配関係が継続することが見込まれること(法令4の3○21)
(「兄弟会社関係」のケース)
株式移転後に株式移転完全親法人と株式移転完全子法人等との間に同一の者による完全支配関係が継続することが見込まれること(法令4の3○21)
50%超100%未満グループ内の株式移転(法法2十二の十八ロ)
株式移転完全子法人と他の株式移転完全子法人との間に支配関係がある場合において、次の要件を満たしたときは、その株式移転は「適格株式移転」に該当する。
① 金銭等不交付要件
株式移転完全子法人の株主に株式移転完全親法人又は株式移転完全支配親法人(株式移転完全親法人の100%親会社)のいずれか一方の株式以外の資産が交付されないこと。
②従業者引継要件
株式移転完全子法人の株式移転の直前の従業者(出向受入者を含む)のうち、その総数のおおむね80%以上に相当する数の者が、株式移転後に株式移転完全子法人の業務に従事することが見込まれていること(株式移転完全親法人の従業員の出向による従事も含む)
③従業者引継要件
株式移転完全子法人の株式移転前に営む主要な事業が、株式移転後に株式移転完全子法人において引き続き営まれることが見込まれていること。
④株式継続保有要件
(「親子会社関係」のケース)
株式移転後に株式移転完全子法人と他の株式移転完全子法人との間に株式移転完全親法人による支配関係が継続することが見込まれていること(法令4の3○23一)
(「兄弟会社関係」のケース)
株式移転後に株式移転完全親法人と株式移転完全子法人等との間に同一の者による支配関係が継続することが見込まれていること(法令4の3○23二)
共同事業を営むための株式移転(法法2十二の十八ハ、法令4の3○24)
グループ外の法人との間で株式移転を行った場合において、次の要件を満たしたときは、その株式移転は「適格株式移転」に該当する。
①金銭等不交付要件
株式移転完全子法人の株主に株式移転完全親法人又は株式移転完全支配親法人(株式移転完全親法人の100%親会社)のいずれか一方の株式以外の資産が交付されないこと。
② 事業関連性要件
株式移転完全子法人が株式移転前に営む主要のいずれかと他の株式移転完全子法人が株式移転前の営む主要な事業のいずれかが相互に関連するものであること。
③ 規模要件又は経営参画要件
子法人事業と他の子法人事業のそれぞれの売上金額、従業員若しくはこれらに準ずるものの規模の割合がおおむね5倍を超えないこと又は株式移転前の株式移転完全子法人若しくは他の株式移転完全子法人の特定役員のいずれかの者が株式移転に伴って退任するものでないこと。
④ 従業者引継要件
株式移転完全子法人の株式移転の直前の従業者(出向受入者を含む)のうち、その総数のおおむね80%以上に相当する数の者が、株式移転後に株式移転完全子法人の業務に従事すること(株式移転完全親法人の従業員の出向による従事も含む)が見込まれていること。
⑤ 事業継続要件
株式移転完全子法人の株式移転前に営む主要な事業が、株式移転後に株式移転完全子法人において引き続き営まれることが見込まれていること。
⑥ 株式移転完全子法人の株主における株式継続保有要件
株式移転完全子法人の株主で株式移転により交付を受ける株式移転完全子法人株式又は株式移転完全支配親法人株式の全部を継続して保有することが見込まれる者が有する株式移転完全子法人又は他の株式移転完全子法人の株式の数を合計した数がそれぞれ株式移転完全子法人又は他の株式移転完全子法人の発行済株式等の80%以上であること(株式移転完全子法人の株主の数が50人以上である場合は、この要件は不要)
⑦ 株式移転完全親法人における株式継続保有要件
株式移転後に株式移転完全子法人と他の株式移転完全子法人との間に株式移転完全親法人による完全支配関係が継続することが見込まれること
無対価株式移転
株式移転については無対価再編の規定はない。
株式移転の法人税課税の取扱い
- (1) 株式移転完全親法人の課税の取扱い
- 株式移転完全親法人は、株式移転完全子法人株式を受入れ、株式移転完全子法人の株主に株式移転完全親法人株式を交付することにより、資本金等の額が増加する。
増加する資本金等の額は、株式移転完全子法人の株式の取得価額となり(法令8①十一)、株式移転完全子法人の株式の取得価額は次のように算出する。 - ①適格株式移転の場合(法令119①十二)
株式移転直前の株式移転完全子法人の株主の数 算式 50人未満 株式移転完全子法人の株主が有していた株式の株式交換直前の帳簿価額+株式を取得するために要した金額 50人以上 株式移転完全子法人の簿価純資産価額+株式を取得するために要した金額 ② 非適格株式移転の場合(法令119①二十七)
株式移転完全親法人が株式移転完全子法人の旧株主から取得した株式移転完全子法人株式の法人税法上の取得価額は、株式移転の時の価額(時価)とされ、この価額に相当する資本金等の額が増加する。 - (2) 株式移転完全子法人の課税の取扱い
- ①適格株式移転の場合
該当なし②非適格株式移転の場合
株式移転が非適格株式移転(非適格株式移転のうち株式移転の直前に株式移転完全子法人と株式移転完全親法人の間に完全支配関係があるときを除く。)に該当する場合には、株式移転完全子法人の一定の資産(法令123の11)について時価評価を実施し、その評価益又は評価損を、株式移転完全子法人の株式移転のあった日の属する事業年度の益金の額又は損金の額に算入する(法法62の9)。 - (3) 株式移転完全子法人の旧株主の課税関係
- ①適格株式移転の場合
適格株式移転に該当する場合には、株式移転完全子法人株式の譲渡による譲渡損益は、繰り延べられる(法法61の2⑩)②非適格株式移転の場合
非適格株式移転に該当する場合には、株式移転完全子法人の旧株主は、金銭等の交付は受けなかったときは、適格株式移転と同様、完全子会社株式の譲渡による譲渡損益は繰り延べられる。ただし、完全親会社等の株式以外の資産の交付を受けた場合には、株式移転の時の価額(時価)による譲渡を行ったものとして、譲渡損益の計上を行う。