買収関連の取扱い
付随費用の考え方
購入した有価証券は、その購入対価等にその有価証券の購入のために要した費用を加算した金額を取得価額とする。
買収のために要した費用には、購入手数料その他購入のために要した費用がこれに該当するが、通信費、名義書換料、外国有価証券の取得に際し徴収される有価証券取得税その他これに類する税は一般的にその金額が少額であることから、含まないことができる(法基通2-3-5)。
欠損等法人買収の留意点
事業を営んでいない税務上の繰越欠損金を有する法人又は評価損資産を有する法人(欠損等法人)を買収した上で、買収から5年以内に事業を開始すること、その他一定の事由に該当するときは、その欠損等法人において、その欠損金額等の損金算入することができないため、注意が必要となる(法法57の2)。
①欠損等法人の意義(法法57の2①、法令113の2⑤一)
欠損等法人とは、内国法人で他の者との間に他の者による特定支配関係が生じた(適格合併、適格分割若しくは適格現物出資又は適格株式交換若しくは適格株式移転により欠損等法人の株式等を取得することにより生じる場合を除く。)もののうち、特定支配関係が生じた日の属する事業年度において欠損金額又は評価損資産を有する法人をいう
②欠損等法人の欠損金の繰越の不適用(法法57の2①、法令113の222、法規26の5))
欠損等法人が、特定支配関係が生じた日以後5年を経過した日の前日までに次に掲げる事由(「適用事由」という)に該当する場合には、その該当することとなった日(「該当日」という)の属する事業年度(「適用事業年度」という)以後の各事業年度においては、適用事業年度前の各事業年度において生じた欠損金額については、繰越欠損金額の繰越控除規定は適用しない。
省略系でない無対価再編成
完全支配関係法人間で行われる無対価再編であっても,対価の交付を省略したものとすることができない再編の場合には,基本的に非適格組織再編成となる。
無対価非適格組織再編成の場合は,法人税法上は移転する法人から移転を受ける法人に対して資産等を贈与したものとみることに留意が必要である。ただし、完全支配関係法人間で組織再編成が実施された場合については、寄附金の全額損金不算入と受贈益の益金不算入となるため、結果として課税関係は生じない。
- ・欠損等法人が特定支配関係が生じた日の直前において事業を営んでいない場合において、特定支配関係が生じた日以後に事業を開始すること
- ・欠損等法人が特定支配関係が生じた日の直前において営む事業(「旧事業」という)のすべてを特定支配関係が生じた日以後に廃止し、又は廃止することが見込まれている場合において、旧事業の特定支配関係が生じた日の直前における事業規模のおおむね5倍を超える資金借入れ等(合併、分割、現物出資による資産の受入れも含む)を行うこと
- ・買収法人又はその関連者がその他の者から欠損等法人に対する特定債権を取得している場合において、欠損等法人が旧事業の特定支配関係が生じた日の直前における事業規模のおおむね5倍を超える資金借入れ等(合併、分割、現物出資による資産の受入れも含む)を行うこと(特定支配関係が生じた日以後に、欠損等法人の債務の額のうち50%超が債権放棄又はDESによって消滅することが見込まれている場合を除く。)
- ・欠損等法人が特定支配関係を有することとなったことに基因して、欠損等法人の支配日直前の役員のすべてが退任をし、かつ業務に従事する使用人のおおむね20%以上の者が使用人でなくなった場合において、欠損等法人の非従事事業の事業規模が旧事業の事業規模のおおむね5倍を超えることとなること(合併、分割又は現物出資による事業の移転のうち、「共同事業を営むための組織再編成の要件」の全てを満たすものに限り、非従事事業の事業規模の増加の判定から除く。)