特定資産譲渡等損失の損金算入制限
- (1) 原則(法法62の7)
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内国法人とその内国法人と支配関係にある法人(支配関係法人という)との間でその内国法人を合併法人、分割承継法人、被現物出資法人又は被現物分配法人とする特定適格組織再編成等が行われた場合において、内国法人と支配関係法人の間に次に掲げる日のうち最も遅い日から継続して支配関係があると認められない場合において、みなし共同事業要件(後述)を満たさないときは、
- ① 特定適格組織再編成等の日の属する事業年度開始の日の5年前の日
- ② 残余財産の確定の日の翌日の属する事業年度開始の日の5年前の日(適格現物分配が残余財産の全部の分配であるときに限る。)
- ③ 内国法人の設立の日又は支配関係にある法人の設立の日
- その内国法人の適用期間(後述)の属する事業年度開始の日から対象期間内までにおいて生じた特定資産譲渡等損失額は、損金の額に算入されない。
- (2) 特例(法令123の9①)
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特定資産の譲渡等損失額の損金不算入額がある場合において、支配関係事業年度の前事業年度末に次に掲げる場合に該当するときは、次に掲げる区分に応じそれぞれ定めた金額をその損金不算入額となる金額に軽減することができる。
区分 損金不算入額 時価純資産価額≧簿価純資産価額 損金不算入額はないものとすることができる。 時価純資産価額<簿価純資産価額 簿価純資産価額-時価純資産価額 - (3) 適格現物分配等の取扱い
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適格現物分配等が行われた場合には、適格合併等の場合と同様に、被現物分配法人において既存の特例規定(法令123の9①)に代えて、特定資産の譲渡等損失の損金不算入の規定がある。
特定適格組織再編成等が事業を移転しない適格分割若しくは適格現物出資又は適格現物分配である場合において、資産移転の直前に次に掲げる場合に該当するときは、適格組織再編成の日等の属する事業年度以後の各事業年度におけるその適用期間内の特定保有資産(後述)に係る特定資産譲渡等損失額は、次の区分に応じそれぞれに定める金額に軽減することができる(法令123の9⑨)。区分 損金不算入額 移転時価資産価額≦移転簿価資産価額
又は移転時価資産超過額(含み益)≦特例切捨欠損金額損金不算入額はないものとすることができる。 移転時価資産価額>移転簿価資産価額 移転時資産超過額(含み益)-(特定切捨欠損金額+特定資産譲渡等損失額の実現済額) ※ 特例切捨欠損金額とは、その法人の欠損金額のうち上記4-2-3(3)の規定により制限対象とされた金額をいう。