概要
グループ企業の税務戦略として重要なものの1つが組織再編税制であり、自社グループの企業価値向上のため、次のような目的で組織再編の手段を活用している。
- ・重複している事業の整理及び統合
- ・親会社所管事業の子会社への移管
- ・子会社事業の親会社への集約
- ・間接部門の分離(シェアードサービスセンターの設立)
- ・持株会社化
組織再編手法については様々な種類があるため、その選択をするためには、税制上のメリット・デメリットを事前に検討する必要がある。
また、M&AとはMerger And Acquisition(合併と買収)の略で、企業の合併と買収の総称をいい、一般的には、会社の経営権の売買を意味する。
他の企業を取得しようとする場合には買取先やその子会社などに吸収合併や企業の株式を買収して子会社化する手段が用いられることからM&Aとは企業の取得という効果に着目して合併と買収を総称するものといえる。
M&Aを活用する主な目的としては
- ・国際的競争力の強化
- ・新規事業及び市場への参入
- ・グループの組織再編、事業再編
- ・赤字企業の救済
- ・後継者不在による事業売却など
が考えられる。
これらの各要素は対象企業の経営権を得る手段として捉えられ、M&Aという場合には利用する手段のスキームを含めた企業戦略を把握する概念として用いられる。
メリット・デメリットを検討する上で特に重要な論点は、次のとおりとなるため、
①「個別承継」又は「包括承継」の選択
②「適格」「非適格」の選択
③欠損金の引継ぎ制限及び使用制限の有無
この3つについてより踏み込んだ解説を行う。