株式交換
三角株式交換
三角株式交換が行われる場合に、適格株式交換として認められるためには、上記要件の他に、次の2つの要件を満たす必要がある(法令4の3⑰)。
- ①株式交換直前に、株式交換完全支配親法人と株式交換完全親法人との間に株式交換完全親法人による直接完全支配関係があること。
- ②株式交換後においても、株式交換完全支配親法人による直接完全支配関係が継続することが見込まれていること
また、内国法人の行う適格株式交換が次の要件のいずれにも該当するときは、適格株式交換に該当しない(措法68の2の3③)。 - ①株式交換完全子法人と株式交換完全親法人との間に特定支配関係があること。
- ②株式完全子法人の株主に株式交換完全支配親法人株式(特定軽課税外国法人に該当する外国法人の株式に限る。)が交付されること。
- ③株式交換完全親法人に事業活動の実体が認められる等一定の要件を満たしていないこと。
無対価株式交換
- (1) 無対価株式交換の意義(法令4の3⑱一)
- 無対価株式交換とは、その株式交換が株式交換完全子法人の株主に株式交換完全親法人の株式その他の資産が交付されないものをいう
- (2) 100%グループ内の場合
- ① 「親子会社関係」のケース (法令4の3⑱一)
完全支配関係にある子法人が自己株式を保有している場合の株式交換等が想定されるが、実務的に想定されるケースは稀であると考えられる。
(「兄弟会社関係」のケース) (法令4の3⑱二)
一の者が株式交換完全子法人及び株式交換完全親法人の発行済株式等の全部を保有している場合で、株式交換後に株式交換完全子法人と株式交換完全親法人の間に同一の者による完全支配関係が継続する見込みがあるときは、無対価であっても適格株式交換となる。
なお、上記の関係が継続する見込みがないときであっても、株式交換の直前に株式交換完全子法人と株式交換完全親法人の間に完全支配関係があるため、後述する非適格株式交換に係る株式交換完全子法人等の有する資産の時価評価損益(法法62の9①)の規定の適用を受けないこととなる。●兄弟会社関係の無対価株式交換
②その他のケース (法令4の3⑱二)
株式交換完全親法人及び株式交換完全親法人の発行済株式等の全部を保有する者が株式交換完全子法人の発行済株式等の全部を保有している場合で、株式交換後に株式交換完全子法人と株式交換完全親法人との間に同一の者による完全支配関係が継続する見込みがあるときは、無対価であっても適格株式交換となる。
なお、上記の関係が継続する見込みがないときであっても、株式交換の直前に株式交換完全子法人と株式交換完全親法人の間に完全支配関係があるため、後述する非適格株式交換に係る株式交換完全子法人等の有する資産の時価評価損益(法法62の9①)の規定の適用を受けないこととなる。●その他の関係の無対価株式交換
株式交換の法人税課税の取扱い
- (1) 株式交換完全親法人の課税の取扱い
- 株式交換完全親法人は、株式交換完全子法人株式を受入れ、株式交換完全子法人の株主に株式交換完全親法人株式を交付することにより、資本金等の額が増加する。
増加する資本金等の額は、株式交換完全子法人の株式の取得価額から株主に交付した金銭等の価額を除いた金額となり(法令8①十)、株式交換完全子法人の株式の取得価額は次のように算出する。① 適格株式交換の場(金銭等不交付株式交換に該当しない株式交換は除く)(法令119①十)株式交換直前の株式交換完全子法人の株主の数 算式 50人未満 株式交換完全子法人の株主が有していた株式の株式交換直前の帳簿価額+株式を取得するために要した金額 50人以上 株式交換完全子法人の簿価純資産価額+株式を取得するために要した金額 ②非適格株式交換及び金銭等不交付株式交換の場合(法令119①二十七)
株式交換完全親法人が株式交換完全子法人の旧株主から取得した株式交換完全子法人株式の法人税法上の取得価額は、株式交換の時の価額(時価)とされ、この価額に相当する資本金等の額が増加する。 - (2) 株式交換完全子法人の課税の取扱い
- ①適格株式交換の場合
該当なし② 非適格株式交換の場合
株式交換が非適格株式交換(非適格株式交換のうち株式交換の直前に株式交換完全子法人と株式交換完全親法人の間に完全支配関係があるときを除く。)に該当する場合には、株式交換完全子法人の一定の資産(法令123の11)について時価評価を実施し、その評価益又は評価損を、株式交換完全子法人の株式交換のあった日の属する事業年度の益金の額又は損金の額に算入する(法法62の9)。 - (3) 株式交換完全子法人の旧株主の課税関係
- ①適格株式交換の場合
適格株式交換に該当する場合には、株式交換完全子法人株式の譲渡による譲渡損益は、繰り延べられる(法法61の2⑧)② 非適格株式交換の場合
非適格株式交換に該当する場合には、株式交換完全子法人の旧株主は、金銭等の交付は受けなかったときは、適格株式交換と同様、完全子会社株式の譲渡による譲渡損益は繰り延べられる。
ただし、その対価として特定軽課税外国法人の株式等を交付される場合には、上記の規定は適用せず、旧株について譲渡損益を計上する(措法68の3③)。
また、株式交換完全親会社等の株式以外の資産の交付を受けた場合(金銭等不交付株式交換)には、株式交換の時の価額(時価)による譲渡を行ったものとして、譲渡損益の計上を行う。