組織再編税制研究室みなし共同事業要件の判定(その2)

みなし共同事業要件の判定(その2)

規模要件

規模要件を満たすためには、被合併事業と合併事業のそれぞれの売上金額、従業者の数、被合併法人と合併法人のそれぞれの資本金の額又はこれらに準ずるものの規模の割合がおおむね5倍を超えないことが必要となる(法令112③ニ)。
なお、売上金額、従業者の数、資本金、これらに準ずるものの全てがおおむね5倍を超えないことが必要とされているわけではなく、いずれか1つの指標が5倍を超えなければ要件を満たすことになる(法基通1-4-6(注))。
また、資本金の規模の割合については、「被合併法人等と合併法人等のそれぞれの資本金の額」と規定されていることから、会社全体の資本金を比較して判定するのに対し、売上金額と従業者の規模の割合については、「被合併事業と合併事業(被合併事業と関連する事業に限る。)のそれぞれの売上金額、被合併事業と合併事業のそれぞれの従業者の数」と規定されていることから会社全体の規模ではなく、対象となる事業の規模により判定を行うという点に留意が必要である。

規模継続要件

規模継続要件を満たすためには、次の2つの要件を満たす必要がある(法令112③三四)。

①被合併事業が支配関係が生じた時から適格合併の直前の時まで継続して営まれており、かつ、支配関係が生じた時と適格合併の直前の時における被合併事業の規模の割合がおおむね2倍を超えないこと。
②合併事業が支配関係が生じた時から適格合併の直前の時まで継続して営まれており、かつ、支配関係が生じた時と適格合併の直前の時における合併事業の規模の割合がおおむね2倍を超えないこと。

このような規模継続要件が課されているのは、規模要件の判定において規模の割合の計算の基礎とした指標に係るものに限るものとされている点にも留意が必要である。
すなわち、例えば、資本金について規模要件を満たすと判定された場合には、規模継続要件が要求されるのは資本金のみであり、売上金額、従業者数については、特に規模継続要件は要求されないことになる。
したがって、事業関連性要件を満たしている場合において、売上金額、従業者数、資本金、その他これらに準ずる指標について、規模要件と規模継続要件の両方を満たす指標がいずれか1つあれば、みなし共同事業要件を満たすことができると考えられ、規模要件と規模継続要件の両方を満たす指標が無い場合には、みなし共同事業要件を満たすためには、次の経営参画要件を満たす必要がある。

経営参画要件

経営参画要件を満たすためには、被合併法人の適格合併前における特定役員のいずれかの者と、合併法人の適格合併前における特定役員のいずれかの者とが適格合併後に合併法人の特定役員となることが見込まれていることが必要となる(法令112③五)。
なお、「特定役員」とは、社長、副社長、代表取締役、代表執行役、専務取締役又は常務取締役と同等に法人の経営の中枢に参画している者をいう(法通1-4-7)。

したがって、被合併法人の常務取締役以上の役員1名以上と、合併法人の常務取締役以上の役員1名以上とが、合併後に合併法人の特定役員になることが見込まれている場合には、経営参画要件を満たすことができるため、特定役員の全員を引継ぐことまでは要求されていないという点に留意が必要である。
また、この場合における「特定役員」は、支配関係が生じた日(合併法人となる法人の設立により生じたものである場合には、設立の日)において経営に従事していたことが必要であるため、支配関係が生じた日後に「特定役員」となった者は、対象外となる。なお、「共同事業を営むための適格合併」の「経営参画要件」における「特定役員」には、この要件は求められていないことに留意が必要である。

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第1章 組織再編手法

第2章 法人税等の取扱い

第3章 組織再編成の取扱い

第4章 欠損金の取扱い

第5章 特定資産譲渡等損失の損金算入制限

第6章 連結納税における組織再編成の取扱い

第7章 その他の税金の取扱い

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