株式の移転には4つの手法がある
株式の集約とは、複数の株主に分散している株式を、特定の株主に集約させることをいいます。たとえば、グループ会社においては、外部の少数株主を排除したり、グループ内で分散している株式を1つの会社に集約することがあります。
また、事業承継の場合には親族外に分散している株式を親族に集約したり、親族内で分散している株式を社長や後継者に集約することがあります。
●株式の集約
分散した株式を集約するには次の4 つの方法が考えられます。
- ① 株式譲渡のケース
- 株式譲渡とは、株式の売り手と買い手とが双方の意思に基づいて売買を行う方法です。おもに、「株式市場を通じて株式を売買する方法」と、「相対取引により売買する方法」との2つの方法があります。上場会社の株式は、市場を通じて市場参加者間で売買が成立するのに対し、非上場会社の株式が流通することはきわめて稀であり、市場価額もないため、非上場会社の株式を譲渡する場合には、時価の算定が必要となってきます。
●株式譲渡
- ② 株式交換のケース
- 株式交換とは、他者が保有する株式を自社株式交換して100%親子会社関係をつくることをいいます。具体的には、親会社となる会社が、子会社となる会社のすべての株主からその株式を取得します。親会社は、その対価として、子会社の株主に対して自社の株式等を交付することによって、親会社と子会社との間に100%の親子会社関係が成立することになります。非上場会社ではオーナー一族の兄弟会社だった会社を親子会社の資本関係に整理する手法としても、しばしば用いられます。
●株式交換
- ③ 株式移転のケース
- 株式移転とは、既存の会社が単独または複数で新たに親会社を設立するために、親会社となる会社に株式を移転させることをいいます。具体的には、100%子会社となる会社の株主が親会社となる会社を新たに設立するために、その保有する株式を拠出し、その拠出の対価として新たに設立される親会社の株式を取得することになります。共同持株会社を設立する際によく活用されます。
●株式移転
- ④ 自己株式の取得のケース
- 自己株式の取得とは、株式会社が自ら発行する株式を取得することをいいます。自己株式には議決権がないため、自己株式を取得すると当然に株式数が減ることによって、株式保有割合が変動し、集約が図られることになります。
●自己株式の取得