組織再編の実践ノウハウ資産の移転とは

資産の移転によってグループ内の資産を効率的に活用する

100%グループ内の資産を有効活用する手法

100%グループ内の資産を効果的かつ効率的に活用するための方策として、資産の移転はよく使われる手法です。実務上は資産管理会社に不動産等を移転させて、不動産管理会社に不動産の管理を任せる、他の会社は本業に専念するなどの経営効率化に活用されているケースが多く見受けられます。
各項目のおもな検討ポイントは次のとおりです。

取引先対策★★★

資産譲渡、現物出資、現物配当のいずれの場合も、事業の土地や建物を移動させなければならない際、その土地・建物に設定されている担保も譲受人が引き受ける場合には根抵当権などの担保について、債務者等の変更登記が必要となり、スケジュール等に影響を及ぼします。再編手続の際に「担保も引き継ぐかどうか」、また、社長の個人保証債務がある場合も「受入側の会社で引き継ぐことになるかどうか」を事前に金融機関に相談する必要があります。

株主対策★★

現物配当を行うことによって、債権者の利益が棄損するため分配可能額を超えないように配当の制限があります。また、現物配当を行う場合には、原則として株主総会の特別決議が必要です。

手続申請対応★

現物出資を行う場合、一定の金額を超える出資財産に対して裁判所選任の検査役等の証明が必要です。また、不動産の移転が行われる場合には、登記が必要です。

会計・税務への影響 課税上の影響★★★

① 法人税等
原則資産を実施した場合には、売却損益が発生します。なお、100%グループの場合にはグループ法人税制の適用があるため、原則売却損益が繰延られます。一方、現物出資・現物配当を実施した場合には、適格組織再編に該当し、課税されません。
② 消費税等
資産の譲渡や現物出資は、原則消費税の課税対象となります。一方で、現物配当は対価がないため、消費税の課税対象となりません。
③ 不動産流通税
不動産が移転する場合には、不動産取得税が課税されます。
なお、現物出資で一定の場合のときに限り、不動産取得税が非課税となるため注意が必要です。

それでは次項より、資産の移転方法である資産譲渡、現物出資、現物配当ごとについて、事前検討に必要な取扱いを説明していきます。

●資産の移転方法ごとのメリット・デメリットのまとめ

メリット デメリット
資産譲渡 ・譲渡益の一時繰延べ
・容易な手続きにより短期間で実行可能
・買い手が買取資金を用意しなければならない
現物出資 ・金銭出資に代わる増資方法として活用できる
・多額の資金用意の必要がない
・一定の金額を超える財産を出資する場合に、検査役等の証明が必要
現物配当 ・子会社の所有する資産を親会社に移転させる場合に有効的
・配当に対する対価が不要
・消費税が非課税
・分配可能額を超える配当は不可
・株主総会特別決議が必要

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組織再編の実践ノウハウ

第1章 企業(組織)再編の基本を押さえる

第2章 組織再編の事前検討の実行① 株式の集約

第3章 組織再編の事前検討の実行② 事業の移転

第4章 組織再編の事前検討の実行③ 資産の移転

第5章 組織再編の事前検討の実行④ 再生(第二会社方式)

第6章 組織再編の手続きを確認する

第7章 組織再編後に行う3つのこと

第8章 各種再編手法のケーススタディ

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