組織再編の実践ノウハウ開示関連の手続き

上場企業では、ステークホルダーへの重要な情報源として開示が求められる

さまざまな法令や規則等によって開示が要求される

上場企業の実務担当者のみなさんは、何らかの組織再編が行われた場合、会計処理や税務上の影響もさることながら、「臨時報告書の提出事由に該当するのではないか」、または「金融商品取引法上の規制が課せられることにより、上場企業の子会社のような非上場会社であっても別途監査報酬が発生するおそれがある」といったことにも着目する必要があります。

上場企業の場合、組織再編は投資家を始めとする、会社を取り巻く多くの関係者にとって、非常に重要な情報源となります。

そのため、さまざまな法令や規則等によって開示が要求されています。

本項では上場企業で組織再編が行われたことを前提にして、法令等で要求される開示関連の手続を説明します。

組織再編を行った場合に関連する可能性がある法令等と開示書類等は次表のとおりです。

●組織再編の際に関連する可能性のある法令と、開示書類等との関係

法令等 開示書類等
会社法 連結計算書類
計算書類 等
金融商品取引法 有価証券報告書
臨時報告書
訂正報告書 等
証券取引所規則 適時開示情報 等

連結計算書類、計算書類や有価証券報告書、臨時報告書、訂正報告書等についてはEDINET(エディネット)で、適時開示情報等については、TDnet(ティーディーネット)等を通じて閲覧できるので、同様の組織再編を行った会社がどのような開示を行っているかを調べることも可能です。

最新開示情報について

持株会社研究所では、最新の開示情報を独自にまとめております

臨時報告書

たとえば親会社や主要株主の異動があったり、重要な災害が起こったりした場合、会社の財政状態や経営成績等に著しい影響を及ぼすことも少なくありません。

当然のことながら、これらの事象が投資家や証券市場に及ぼす影響も大きいと推測されます。

そこで、投資家の保護や証券市場の信頼性の確保を図るため、一定の事由が発生した場合には臨時報告書の提出が要求されています。一定規模の組織再編が行われる場合についても、影響の大きさから臨時報告書の提出が要求されています。

 

次表はそれらの規定をまとめたものです。

●臨時報告書の提出が求められるケース

提出会社の業務執行を決定する機関(取締役会等)で決定したケース 提出会社の最近事業年度の末日における純資産額または売上高かが一定額以上増減するケース 連結会社の純資産額または売上高について一定額の増減があるケース
吸収合併
新設合併
吸収分割
新設分割
事業譲渡
株式交換
株式移転

臨時報告書の提出事由に該当した場合、一定の書式にしたがって、該当の項目について記載しなければなりません。
組織再編の種類によって多少記載する項目は異なりますが、おおむね次の内容を記載することになります。

  • ・ 会社の名称、本店の所在地、代表者の氏名、資本金の額、純資産の額、総資産の額、事業の内容
  • ・最近3年間の売上高、営業利益、経常利益、純利益
  • ・ 大株主の氏名または名称、発行済株式総数に占める大株主の持株数割合
  • ・組織再編の目的
  • ・組織再編の方法、内容
  • ・提出会社と相手会社との資本関係、人的関係、取引関係

また、決算日後に行われた組織再編が、重要な後発事象に該当する場合があります。このときにも、臨時報告書の提出対象となる可能性に注意する必要があります。

適時開示

東京証券取引所等の各証券取引所に上場している企業の情報は、投資家や証券市場に非常に大きな影響を及ぼすと考えられます。
そこで、各証券取引所は、投資判断に重要な影響を与える会社の業務、運営または業績等に関する情報を適時開示情報として公表させることによって、投資家にタイムリーな企業情報の提供を行うとともに、投資家が安心して投資することのできる安定的な証券市場の確保を図っています。

適時開示が求められる項目は、各証券取引所のホームページ等で列挙されています。大きく「上場会社の決定・発生の事実」「上場会社の決算情報」「上場会社の業績予想等」「子会社の決定・発生の事実」「子会社の業績予想の修正等」といった項目に区分され、たとえば前ページ表のような一定の組織再編についても開示対象となっています。

なお、適時開示については、「上場会社のみならず上場会社の子会社が対象となる組織再編についても開示対象となっている点」に注意が必要です。

●適時開示が求められる項目

上場会社の決定事実
・株式交換
・株式移転
・合併
・会社分割
・事業の全部または一部の譲渡または譲受け
子会社の決定事実
・子会社の株式交換
・子会社の株式移転
・子会社の合併
・子会社の会社分割
・子会社における事業の全部または一部の譲渡または譲受け

開示規制

組織再編による株式の発行や交付のうち、金融商品取引法では、次の一定のケースに該当する場合、その株式の発行者に対して、発行開示義務およびその後の継続開示義務が生じるという開示規制が課されますので、注意が必要です。

一定のケースとは、具体的には以下のとおりです。

  • ・ 吸収合併において、被合併会社の株式に関して金融商品取引法上の開示が行われていたにもかかわらず、吸収合併により発行または交付される株式に関して金融商品取引法上の開示が行われていないケース
  • ・ 新設分割において、分割会社である上場会社の株式に関して金融商品取引法上の開示が行われているにもかかわらず、新設分割により発行される新設会社の株式に関して開示が行われていない(発行価額の総額が1億円未満である場合を除く)ケース

インサイダー取引

組織再編を実施するということは、その当事会社にとって株価に影響を及ぼす重要な情報に該当します。したがって、その情報を入手した会社の担当者等は、インサイダー取引に該当しているかどうか事前に検討する必要があります。
たとえば、再編における当事会社同士が取り交わした覚書や合意書締結以前であっても、場合によってはインサイダー情報にあたる可能性がありますので、早い段階から当該情報の管理体制、インサイダー取引の該当者を出さないような内部体制の構築に努める必要があります。

持株会社化のセルフ診断
無料診断・相談会

組織再編の実践ノウハウ

第1章 企業(組織)再編の基本を押さえる

第2章 組織再編の事前検討の実行① 株式の集約

第3章 組織再編の事前検討の実行② 事業の移転

第4章 組織再編の事前検討の実行③ 資産の移転

第5章 組織再編の事前検討の実行④ 再生(第二会社方式)

第6章 組織再編の手続きを確認する

第7章 組織再編後に行う3つのこと

第8章 各種再編手法のケーススタディ

持株会社の相談窓口

持株会社化や組織再編に関するお悩みやご質問は、みらいコンサルティングの相談窓口までお気軽にご相談ください。

お電話でのご相談

メールでのご相談

 ご相談フォーム