組織再編の実践ノウハウその他留意すべき手続き

組織再編に関連して追加の手続が必要となる場合がある

組織再編を会社が実施した際の影響は実務上のさまざまな面に生じます。

銀行口座

組織再編が行われた際、当事会社内で預金口座の引継ぎの問題が生じるケースがあります。会社にとって、得意先との関係から口座番号を変更することは、なるべく避けたい事項となります。たとえば、売掛金は組織再編後の新しい会社が回収すべきであるのに、得意先が誤って元の預金口座に入金するような問題が実務では起こりえます。ただし、いくつかの条件を満たせば、預金口座番号を変えずに、そのまま組織再編後の新しい会社が引き継ぐことができるケースもあるため、預金口座をもつ金融機関に事前に相談する必要があります。

許認可

組織再編が行われた場合には、許認可に対する承継問題が生じます。一般論としては、組織再編は一定の手続きの下で認められますが、許認可の地位はその企業に対して与えられたものであるため、組織再編によってその変更がないか、または許認可に関する法令がとくに規定されている場合には許認可の地位が承継されることになります。
しかし、許認可の引継に関する法令がとくに規定されていなければ、改めて許認可の申請を行うことになります。

不動産の登記(所有権および抵当権等の担保権の移転等)

合併や会社分割、事業譲渡等の組織再編により、当事会社間においても権利義務・財産・事業の移動が発生します。しかし、その対象となる権利や事業等に不動産の権利(所有権や抵当権等)が含まれている場合、その組織再編の効力発生の結果、不動産の権利等も移動することになるため、組織再編の効力発生後に「不動産の名義を変更する登記を行う」といった手続きが必要となります。
また、その不動産が金融機関等の借入金の担保に供されているときは担当者の移転登記等も必要となります。
なお、組織再編のうち株式交換および株式移転は、株式の移動のみであり、当事会社の権利義務その他財産や事業の移転をともなわないため、不動産登記が必要となる場合はありません。

ほふり(証券保管振替機構)と組織再編について

上場企業の株式については、株主情報の管理、名義書き換え等の業務を証券保管振替機構(ほふり)が行っていることから、組織再編について行う際には、対価の内容、組織再編の日程、効力発生日などの組織再編に関する情報をほふりに通知する必要がありますので注意してください。
なお、通知を受けたほふりが証券会社、信託銀行等にその情報を通知し、それを受けて証券会社、信託銀行等において、組織再編にともなう株主の情報(保有する株式の会社名・株数その他)を変更します。

会計税務処理の確認

事前検討で行った会計税務処理の損益インパクトの見積りについて、最終的な会計税務の処理を踏まえた確定損益の結果を確認します。
事前検討を行う段階では、組織再編にともなう損益インパクトを概算で算定すれば足りるため、大きな損益の影響を把握すればよかったのですが、再編後の手続きの段階では最終的な会計および税務の処理を確定する作業は少額な金額および特殊な処理を把握する必要があるため、重要性が高いものとなります。たとえば会社分割を行う場合に、対象となる全ての分割資産負債の確定作業を行い、「最終的に何をいくら移転させるか」という処理を会計・税務両面から必要となります。この確定作業は日常的な会計税務の処理の細かい点にまで及ぶため、公認会計士、税理士等の専門家に相談することをお勧めします。

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組織再編の実践ノウハウ

第1章 企業(組織)再編の基本を押さえる

第2章 組織再編の事前検討の実行① 株式の集約

第3章 組織再編の事前検討の実行② 事業の移転

第4章 組織再編の事前検討の実行③ 資産の移転

第5章 組織再編の事前検討の実行④ 再生(第二会社方式)

第6章 組織再編の手続きを確認する

第7章 組織再編後に行う3つのこと

第8章 各種再編手法のケーススタディ

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